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2007年04月03日

取引基本契約

売掛先の入金が、突然ストップ。さて、どうしましょうか。

まずは、今後の取引をどうするのかが問題です。
このまま掛売で続けると傷口を広げることになりかねない場合が多いので、
現金取引にするか、あるいは、取引を停止するか、悩みどころです。

また、未収の売掛金はどのように回収するか。
もう法人が危ういと思われるとき、社長個人の資産から回収ができるか。

いずれも、取引基本契約書で盛り込んでおきたいところです。

売掛金の入金がとぎれた場合でも、
継続的な取引をしていた場合には、一方的に取引を停止すると
違法になる場合もあり得ます。
そうすると、代金支払いの遅滞が「取引停止事由」となるという
条項を盛り込んでおくべきでしょう。
また、法人だけでは信用力が不足する場合には、
取引基本契約書に、「社長個人が連帯保証する」ことを盛り込んでおくべきです。

リスクが現実化したときに、
初めて取引基本契約書の存在がいきてくると思います。

2006年12月07日

譲渡担保

融資を受けるに際して、その担保として、例えば機械などに
譲渡担保を設定することがあります。

譲渡担保とは、債権を担保するため、
債務者やその目的となる物の所有者から、
債権者が形式的に所有権を譲り受け、
被担保債権(債務)が弁済された場合に、その権利を返還するというものです。
ただ、その所有権の移転は、形式的なものなので、
従前どおり目的物を利用し続けることができます。

被担保債権(債務)が弁済されないときは、
債権者は、その目的物を評価して、債権との差額を
譲渡担保権設定者(その物の所有者)に交付し、
目的物の所有権を確定的に取得します。

譲渡担保は、民法に定められているものではなく、
判例上認められたものです。
譲渡担保権の設定に際しては、契約書の作成が要件となるわけでは
ありませんが、
外形的に目的物が移動するわけではなく、従前どおり
債務者側が利用し続けることが可能であるため、
譲渡担保権の存在があいまいになりがちです。
したがって、契約書を作成し、契約の存在を明確にしておくべきです。

2006年11月29日

支払督促

NHKが受信料不払い世帯に対して、
支払督促を申し立てるとのことです。

支払督促は、
金銭の支払又は有価証券(もしくは代替物)の引渡しを求める場合に
認められる手続で、その金額を問わず、
債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てます。

申立書の書類審査をパスすると支払督促が発布され、債務者に送付されます。
内容面の審査がないため、債務者が裁判所に行く必要はありません。

債務者に不服がある場合も当然ながらあります。
そのような場合、債務者は督促異議書を裁判所に
提出して、異議の申し立てをします。
異議を申し立てると、請求額に応じて、
地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します。
ここでは内容面の審理がされることになります。
なお、債務者が納得できないと思いつつも、
受け取った日の翌日から2週間以内に督促異議の申立てをしないと
支払督促に仮執行宣言が付されることがあり、
これによって直ちに強制執行を受けることがあります。

2006年10月19日

給与の差押え

相手方が債務の支払を履行しない場合、
債権者としては、最終的には、
相手方の財産から強制的に回収することになります。
いわゆる強制執行です。

相手方が会社勤めをしている場合は、給与債権を
差し押さえることができます。
ただ、給与の全額を差し押さえられるとその従業員は
生活費に窮することになるため、
差押えの金額は原則として、賃金の4分の1とされています。
したがって、給与を差し押さえる旨の命令が届いたときは、
会社は4分の3を従業員に、
4分の1をその債権者に支払うことになります。

なお、このように差押えが禁じられるのは、
その従業員の生活資金を守るためなので、
高給を得ている従業員の場合は、あてはまりません。
政令で標準的な生活費として定められている額(33万円)を
超える部分の全額について、差押えが可能とされています。
つまり、33万円が4分の3にあたる「手取額44万円」を超える
給与を得ているならば、33万円のみを残して、それ以外の部分は
すべて差し押さえられることになります。

2006年07月21日

仮差押えの効力

仮差押えとは、債務名義を得るための間に、
債務者の財産が逸失し、将来強制執行をしても回収が不能となることを防ぐため、
処分をさせないように保全する制度です。
例えば、
A社がBさんに対して、貸金債権を持っているが、支払ってもらえない場合、
A社はBさんに対して、訴訟を起こし、勝訴判決を得て強制執行しようとします。
ところが、Bさんの財産といえば、勤め先からもらう退職金しかない、
こんな場合は、A社はBさんの退職金の仮差押えします。

Bさんの勤務先に仮差押え決定が送達されれば、
勤務先はBさんに対して退職金を支払ってはならない
(仮に支払ったとしてもA社には対抗できず、A社に対して支払う義務を負う)
とされます。

最高裁は、20日、
仮差押え命令が送達される前日に、退職金の振込依頼をすませており、
仮差押え命令が送達された後に、全額(Bさんの口座に)送金されたケースについて、
仮差押え命令の送達を受けた時点で、振込依頼の撤回が著しく困難な
特段の事情がない限り、撤回すべきと指摘し、仮差押えは有効と判断しました。
つまり、勤務先はA社に対して、仮差押え債権相当額の支払いを
しなければならないのです(「二重払い」)。

仮差押え命令を受け取ったときには、その取り扱いに注意が必要です。

2006年03月06日

詐害行為取消権

多額の借り入れをし、
その返済が困難な状況にある人が、
債権者の追及を免れるため、
唯一とも言える資産を売却してしまったら、
債権者としては、
何か債権回収の手だては無いのでしょうか。

民法424条は、
債権者は、債務者が
債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを
裁判所に請求することができる、と規定しています。

ただ、その財産の買主や、
買主から、さらにその財産を取得した人(転得者)が
債権者を害することを知らなかったときは、
取消はできないとされています。

なお、この取消権にも時効のルールがあり、
債権者が取消しの原因を知った時から
2年間行使しないときは、
時効によって消滅することになります
(行為の時から二十年を経過したときも、同様)。

2005年09月13日

支払督促と訴訟

引き続き、支払督促の流れについて。

相手から督促異議の申し立てがなされると、
相手の住所地を管轄する裁判所で、
訴訟が係属することになりますので、
申立人(原告)は、
そこまで出向かなければなりません。

したがって、支払督促は、
基本的には、その権利関係が当事者間に
争いのないケースに適していると言えます。
争いがなければ、
裁判所での中身の審理はなされず、
通常訴訟と同じ結果が得られるからです。

NHKは、
悪質と言えるまでに不払になっている人への
プレッシャーの意味合いで、
この支払督促を検討しているようですが、

支払督促に対し、
不払いの人がみんな督促異議を出せば、
それぞれの住所地を管轄する裁判所で
訴訟が係属することになり、
その数によっては、
各地の裁判所で事件を抱えることになってしまいます。

2005年09月11日

支払督促

NHKが受信料不払いの人に対して、
支払督促の手続を検討しているとのこと。

支払督促とは、
金銭債権や一定の有価証券の請求について、
裁判所書記官が発するもので、

請求の内容(実体)については審査されず、
あくまで、
申立てが適法になされているかどうかという
形式面のみが審査されるものです。

支払督促を申立てた後は、
督促異議の申し立てがなければ、
裁判所での審理がなされないので、
非常に簡便な手続といえます。

支払督促は、
債務者(相手方)に送達されたときに
効力が発生します。

しかし、この支払督促に対して、
債務者は、
督促異議の申し立てをすることができます。

適法な督促異議の申立があったときは、
その限度で、支払督促の効果は失われます。

この場合、支払督促の申立は、
通常訴訟の提起とみなされ、
以後は、
通常の訴訟と同じように審理されます。

2005年07月21日

相殺の要件

相殺の要件は、

1 両方の債権が金銭債権であること

のほかに、

2 両方の債権が弁済期にあること

が必要です。

つまり、支払時期が到来していなければなりません。

ただし、
相殺する側が支払わなければならない債務については、

支払時期より前に(期限の利益を放棄して)
支払うことが可能なので、

結論としては、
相手の債務が弁済期にあればよい
ということになります。

なお、会社が従業員に貸し付けをしているような場合
会社と従業員との間でよく問題になりますが、

会社がこの貸金債権と給与債権を
相殺することはできません。

給与は、
現実に支払われないと生活を脅かすからです。

また、
「現実に支払われないと困る」という
観点からは、

損害賠償債務についても、

債務者(損害賠償義務を負う者)からの
相殺は禁止されています。

つまり、
人身事故を起こして、損害賠償義務を負う場合に、

「たまたま」相手の人にお金を貸していたために、
損害賠償義務と貸金債権を相殺しようとしても、

それは許されないのです。

2005年07月19日

相殺とは

今日は、「相殺」(そうさい)について。

債権を持っている相手に対して、
たまたま、自分も債務を負担しているときは、

相手の債権と自己の債権とを特定し、
その対当額で相殺するという
意思表示を相手に対して通知すると、

自分の債務を弁済したのと同じこととなります。

逆側から見れば、
自分の債務が減少した分だけ、
相手から債権を回収をしたことになります。

   →債権(支払ってもらう権利)→
当方                   相手
   ←債務(支払う義務)←←←←

相殺には、
相手の同意は不要です。

こちらからの一方的な意思表示で
相殺ができます。

そこで、
「相殺の意思表示」が証拠として残るよう
通知は内容証明郵便で行います。

相殺には、いくつか要件がありますので、
また次回に。

2005年06月14日

商事留置権の効力

昨日に続き、
商事留置権について、です。
 
商事留置権は、
商人間の取引に基づくものですから、
その担保力も強くなっています。

つまり、債務者が
破産、会社更生、民事再生の各倒産手続に入ったとしても、
留置物に優先弁済権が認められています。

例えば、
債務者が破産宣告を受けても、
商事留置権はその効力を失わず、
破産管財人を相手に「動産競売申立」を行い、
破産法で認められた優先弁済権としての効力の範囲内で、
債権を回収することができます。

例えば、倉庫に商品を保管していたけれど、
その保管料を支払ってもらえないというような場合は、
動産の所在地の執行官に動産執行の申立を行います。

このとき、
手続に必要な費用を予納する必要があります。

差し押さえられた商品は、売却され、
売却代金から競売費用を差し引いて、
未払いの保管料(被担保債権)に充当することができます。

売却代金からこれらを差し引いても残額がある場合は、
債務者(所有者)に返還することになります。

なお、
民事留置権の場合も競売権はありますが、
債務者が破産宣告を受ければ、
留置権によって、優先的に弁済を受けることはできません。
 
したがって、
効力としては、
商事留置権の方が強いということになります。

2005年06月13日

商事留置権とは

今日は債権回収について。

例えば、金融機関が融資をする場合、
連帯保証人を要求したり、
所有している不動産に抵当権を設定して、
その融資の回収を確実にしようとします。

しかし、
企業間で大量に行われる取引では、
いちいち
このような担保を設定することの方がまれ、
ともいえます。

取引によって生じた債権の支払を確保するために、
特に担保を設定したりしなくても、
法律上当然に、支払の確保させようとする制度があります。

その一つが留置権(りゅうちけん)です。

留置権には、
民事留置権と商事留置権があります。

民事留置権とは、

例えば
自動車工場が自動車を修理し、
修理代金が生じたときに、
その支払いを受けるまで
自動車を手元に置いておくことができる、

というものです。

これに対し、商事留置権とは、

取引の両者が商人の場合で、
その当事者間の取引によって生じた債権の
支払を受けるまで
取引によって占有することとなった債務者の物を
留め置くことができるという
ものです。

商事留置権の場合は、
債権がその占有物(今、占有している物)に関して
生じていなくても、
その占有物について留置権が認められるので、
商人間において大量かつ継続的な取引によって生じる
債権の回収を図ることができるのです。

つまり、例えば、
倉庫業者が債務者所有の商品を保管しているときに、
「全く別の契約により発生した」
保管代金の支払を受けるまで、
今、手元にある機械を留置することができるわけです。

次回は、商事留置権によって、
債権の回収を図る手続をみることにします。

2005年04月13日

仮差押と仮処分

今日は、お昼に某所でプチ講演をしました。
テーマは、弁護士の賢い使い方。
講演の前に、弁護士会の人口分布を調べて、改めてびっくりしたのは、
約21,000人の弁護士のうち、10,000人以上が東京にいることです。
ちなみに大阪は、2,800人あまりでした。

さて、債権回収方法について、少し。
例えば、取引先が売掛金を支払わない場合、
裁判により、勝訴の判決をとっても、
それ以前に取引先が財産を処分してしまい、手元に財産がなくなれば、
債権の回収ができず、裁判が無駄になってしまいます。
そこで、債務者(取引先)が財産を保有しているのが分かれば、
その財産処分を防止し、財産を確保しておく必要があります。
その手続を保全処分といいます。

保全処分には、仮差押と仮処分があります。

仮差押は、金銭債権(売掛金等)の回収を目的とするもので、
将来勝訴判決をとったときに、強制執行の対象となる財産を
確保するための手続です。
仮差押の対象となるのは、不動産や取引先が「他社」に対して有する
売掛債権などで、例えば、売掛債権の場合は、「他社」に対して、
「取引先に支払ってはならない」旨の命令が出ることになります。
その命令を受けた「他社」は、取引先に支払うことはできないので、
供託という手続をとることが多いです。

これに対し、仮処分とは、売掛金などの金銭債権以外の債権の執行を
保全するものです。
例えば、「不動産の登記を移転してもらう権利」を有しているが、
売主がこれに協力しないので、裁判で登記の移転を求めたいといった場合、
仮に売主がその不動産が勝手に他に売却して、
第三者の登記名義に移転されてしまうと、
たとえ、裁判で「不動産の登記を移転してもらう権利」が
認められたとしても、それを実現することはできなくなります。
そこで、この場合は、「不動産の処分禁止の仮処分」を申請する
ことになります。

ライブドアvsフジテレビの争いの中で、ライブドアが
「新株予約権発行差し止めの仮処分」を申請し、
これが認められましたが、これも仮処分の一種です。
ストーカーに対する接近禁止等の仮処分も同じく。
仮処分は、「金銭債権以外の債権」の執行保全を目的とするため、
仮差押に比べ、非常にバリエーションのあるものです。