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2009年06月23日

FCにおける個性

コンビニエンス・ストアのFC本部が、加盟店に対して、
弁当などの値引き販売を制限したことにつき、
公正取引委員会は、独占禁止法違反で排除措置命令を出したことが
大きく報道されています。

FCは統一したイメージの保持が基本的な要素でした。
消費者からみると、一般には直営店と加盟店の区別がつきません。
個性が強調されない仕組み。

もともとは、消費期限が切れた商品を廃棄するコストが加盟店に
重くのしかかっているという実情がクローズアップされていますが、

これを機に、
消費者に最も訴求しやすい価格面でも
加盟店ごとの個性が出てくるのでしょうか。

2007年12月14日

試用期間の延長

入社時に一定期間の試用期間が設けられた場合、
その期間を一方的に延長することができるでしょうか。
試用期間は3ヶ月程度設けている会社が多いように思われますが、
延長する特段の事情がない限り、原則として延長は認められないと
捉えられています。
期間延長が許容される特段の事情としては、
能力や業務の適性をさらに見極める必要性が高いとき、つまり、
労働者に勤務不良や能力が不足しているような場合が挙げられますが、
期間満了までに本人に告知しておくことになります。

2007年07月05日

委任契約の解除

「事務の処理を委託する」契約を委任契約といいます。
不動産の売買、弁護士へ訴訟の依頼、コンサルティング(助言)の依頼など、
委託する内容はさまざまです。取締役と会社との関係も委任関係です。

委任は、各当事者がいつでも解除することができます(無理由での解除)。
ただし、当事者の一方が、相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、
やむを得ない事由のない限り、
解除した人は、相手方の損害を賠償しなければなりません。

受任者(頼まれた人)が事務処理を始めているのに、委任者(頼んだ人)が、
一方的に解除するような場合、受任者が報酬を受け取れないというのは酷です。
そのような場合、委任者は、受任者の行った仕事の割合に応じた報酬として、
あるいは、損害賠償として相当額を支払う、ということになります。

2007年06月06日

代理店契約

代理店(特約店)は、商品を仕入れ、自分の名前で他に販売する形態であり、
商品などの仲介する業者(代理商といいます)とは異なります。
仲介の場合、成約数(量)のノルマなどが課されることはあるでしょうが、
原則としては、自ら商品を購入し在庫を抱えるリスクはありません。

代理店契約では、商品を買い取るという性質上、
売れ残りのリスクを意識しなければなりません。
返品条件をもうけるなどの配慮が必要な場合もあるでしょう。

また、「その商品を製造しあるいは供給する業者からしか仕入れてはいけない」
などの制限が契約書の中に設けられている場合が多く、
将来の事業展開も踏まえて、契約書の内容を精査する必要があります。

2007年04月05日

下請業者保護へ

下請法は、優越的地位にある企業がその立場を利用して、
下請業者に不利益な取引を強いることなどを禁止しています。

平成19年4月5日付日本経済新聞によれば、
経済産業省と公正取引委員会は、
「下請法」の運用基準をきめ細かくし、
事業者に違反行為の判断の目安として活用させるということです。

5つの業界(情報通信機器、繊維、自動車、ソフトウェア、コンテンツ)
について、違反事例を列挙した業界別指針が作成されるようですから、
監督が強化されると同時に、
下請業者の扱いについて、親事業者側からの自制も求められることになるでしょう。

2007年03月27日

CSR調達

平成19年3月27日付日本経済新聞によれば、
松下電器産業が、中国の部品・資材調達先を対象に、
法令遵守や環境配慮など企業の社会的責任(CSR)を
取引条件とする調達契約を結ぶとのこと。
具体的には、取引基本契約書に、
「法令遵守」「機密情報」「環境保護」「人権尊重」の
項目を盛り込み、違反が認められた場合には、取引を停止するというものです。
日常業務での法令遵守等の意識が契約の存続に直接影響してくるということですね。

2007年02月21日

下請代金の不当減額

公正取引委員会の公表したところによれば、
自動車販売会社がその未処理損失を解消するため、
トラック部品の取り付けや修理を委託している下請業者に、
「協力値引き」名目で減額を要請し、下請代金額を減じていたことは
下請法に違反するとして、勧告が行われたとのことです。

下請業者側に責められる事由がないのに、
契約時に決定した下請代金を不当に値引きさせることは、
下請代金支払遅延等防止法(下請法)で禁止されています。

2007年02月08日

混同

債務者が債権者を相続した場合、その債務は原則として
消滅します。
このように債権と債務が同一人に帰することを混同といいます。
ただ、その債権が第三者の権利の目的となっている場合には、
例えば第三者に対する担保権が設定されているような場合は、
その債権を存続させておく意味があるので、消滅しません。

2006年11月13日

押印について

文書に印鑑を押すというとき、
「訂正印」「捨印」「割印」「契印」などの言葉が出てきます。

訂正印は、文書内容を訂正する際に押捺する印影です。
文書の署名部分に使用した印章と同じものを使い、
文書を複数の当事者で作成している場合は、全員の印影が押捺が必要です。
訂正部分を二重線で消してその部分に押すか、
欄外に「○字削除 ○字加入」と記載してそこに押捺します。

捨印は、文書作成後に文書内容の訂正の必要性が生じた場合に備えて、
あらかじめ文書の署名部分に使用した印章と同じ印章を使って、
欄外に押捺しておくものです。
捨印があると、後日の訂正が可能となりますが、
同時に自由な訂正を許すことになるので、用心しなければなりません。

割印は、2通以上の文書が同一である、あるいは、
文書に関連があることなどを示すために、
複数の文書にまたがって押捺するものです。

契印は、1通の文書が複数枚にわたるときに、
その文書が一体のものとして、その順序でつづられていることを示すためのもので、
文書が綴じられた部分に、2ページにまたがって押捺するものです。
当事者が複数の場合は、
全員の押捺(文書の署名部分に押印されたもの)が必要です。
なお、文書が製本されているとき(帯で綴じられているとき)は、
裏表紙と帯にまたがって1カ所に押捺します。

2006年10月05日

意思に基づかない保証契約(2)

保証人になるというのは重大な決断です。
したがって、他に有効な担保があるのか、あるいは、
その債務がどのような内容なのかなどについて、
保証人が大きな関心をもつはずです。
この内容に錯誤があれば、保証契約の無効を主張することが
考えられます。

例えば、保証人が自分だけなら責任が重くて保証人になることはできないけれど、
他に保証人がいる、あるいは、不動産の担保があるので、
保証は形式的であると誤信して、
それらがあることを理由に保証したという場合で、
そのことが表示されていれば、錯誤無効を主張することも可能と考えられます。

また、保証しようとする債務の内容について説明を受けず、
誤信したまま保証契約を締結し、予想外の債務を保証してしまっていた場合も、
錯誤無効の主張が考えられます。

ただし、「そのような事情が存在した」ことの証明が困難な場合も多く、
無効が認められるためのハードルは高いのです。

2006年10月03日

意思に基づかない保証契約(1)

本人が全く知らないうちに保証人になってしまっていたような場合、
例えば、権限のない人が署名し、
実印を勝手に持ち出して使用されたような場合、
その本人は保証人としての責任を負わないのが原則です。

しかし、そのような事態を招いたことに本人の責任が認められる場合は、
相手方の利益を保護するため、
本人が保証人としての責任を負わなければならないこともあります。

本人を犠牲にして相手の利益を守ろうとするからには、
それなりの理由が必要です。
どんな場合かというと、
もともと基本となる代理権が与えられていたところ、
それを無断で超えてしまった場合で、
相手方に、超えた部分についても代理権が与えられていると信じるについて、
正当な理由のある場合が典型例です。

「正当な理由」というのが問題となりますが、
本人から実印の交付を受けていたときはこれが認められる場合が多いです。
もっとも、代理人の権限について、疑念を抱くような事情があるときは、
相手方は、代理人の権限について
何らかの調査をするべきであるとされているので、一筋縄ではいきません。

2006年09月14日

身元保証人への請求

従業員の不正行為等により、会社(使用者)に生じた損害を
賠償することを約する「身元保証契約」ですが、
契約書上にはあらわれない制限もあります。

すなわち、
従業員の不正行為が認められ、身元保証人が責任を負うとされた場合でも、
その全額について請求できるとは限りません。

「身元保証に関する法律」によれば、
裁判所は、
身元保証人の損害賠償責任及びその金額を定めるに際しては、
従業員の監督に関する使用者の過失の有無
身元保証人が身元保証をするに至った事由や
身元保証するにあたって、用いた注意の程度
従業員の任務や身上の変化など
一切の事情を考慮するものとされています。

その結果、
実際の損害額に比して定額の賠償額しか認められないことも
多いといえます。

2006年08月23日

株誤発注問題が進展

平成17年12月に発生した「株誤発注事件」について、
みずほ証券が東京証券取引所に対し、404億円の損害賠償請求をし、
東証がこれに応じない構えをとっていることから、
損害賠償請求訴訟に移行するようです。

この問題では、
・東証に重過失があるか。
・東証に重過失が認められず、過失が認められるにとどまる場合に、
過失に過ぎない場合の免責規定(重過失がない限り損害賠償義務を負わない)
に基づき、損害賠償責任を負わないのか。
が争点になりそうです。

後者の争点については、
東証会員になる際には、否応なく受け入れざるを得ないもの、
いわば、押しつけられたものであるから「無効である」という主張が出てくるのでしょう。

なお、東証が損害賠償責任を負う場合にも、
みずほ証券の発注に際しても問題があったとして、
過失相殺の対象になり、損害と認められた額に対して、
どちらにどの程度の責任があるのかが、争われるものと思われます。

こういった損害賠償請求事件は、企業間では日常的に発生しますが、
今回は、誤発注という異例の事柄で、額も大きいので注目されますね。

2006年06月27日

FC契約の注意点

中小小売商業振興法の適用のあるFC事業(小売・飲食チェーンなど)では、
事前に開示すべき項目が定められています(合計22項目)。
事業である以上、すべてがうまくいくとは限りません。
また、比較的長期間の契約となるため、その間にどんな事情変更が生ずるか
容易には予測できません。
そこで、リスクをあらかじめ把握することが必要であり、
そのためには、これらを確認することは必須です。

○チェーン本部の概要(株主・子会社・財務状況・店舗数の推移・訴訟件数など)
○契約内容のうち加盟者に特別な義務を課すなど、加盟者にとって重要な事項
たとえば、
・テリトリー権の有無、周辺の出店計画など
・加盟者から定期的に徴収する金銭に関すること(ロイヤルティ)
・契約違反の場合のペナルティ
・経営の指導に関すること
・契約の期間・更新・解除に関すること

2006年06月16日

セールスレップ

6月15日の日経新聞夕刊には、女性の「セールスレップ」が紹介されていました。
Sales Representativeの略称で、メーカーから委託を受け、
顧客開拓をして、出来高に応じてメーカーから仲介手数料を受け取るもので、
契約自体はメーカーと顧客(販売先)が直接結びます。
独立営業職(自営)で、個人の専門知識や提案力が重視され、
「日本セールスレップ協会」の認定資格もあるとのこと。

レップと企業との間は業務委託契約、
企業と販売先との間は商品売買契約となります。

2006年04月25日

違約金とは

違約金とは、契約違反(債務不履行)があった場合に支払われるべきとして
予め合意した金銭をいいます。

違約金の定めがあれば、損害が発生したかどうかや損害額の立証を要さずに
損害賠償請求をすることができます。

違約金の定めを盛り込むことにより、契約の拘束力は強くなりますが、
支払う立場になることも十分あるのですから、
将来的なリスクをしっかり考慮しなければなりません。

2006年03月23日

物上保証

自分の所有している不動産を
他人の債務の担保に差し出すことを
物上保証といいます。

良くある事例は、
会社の借入の担保として、
社長個人が所有している不動産に
抵当権を設定する場合です。

仮に、会社が債務の返済に行き詰まったら、
この不動産の抵当権が実行(競売)されます。

なお、債務の担保として、
連帯保証人をつけてもらうなど、
人の支払能力を担保にしてもらうことを「人的担保」、
不動産に抵当権を設定するなど、
物を担保に入れてもらうことを「物的担保」と
言うことがあります。

2006年03月22日

保証協会が連帯保証を原則廃止

全国の信用保証協会で、今年4月から、
連帯保証が原則廃止となるそうです。

経営者が高齢者や重病の場合、
追加的な保証を受けるため、
積極的に連帯保証人を引き受ける申し出がある
などの場合は連帯保証を認める例外があるとのこと。

金融機関からの借入れについて、
保証協会の保証付きで行う場合、
保証協会からは、代表者のほか、
複数の連帯保証人を要求される場合がありました。

しかし、
会社が破綻した場合に
連帯保証人が莫大な借金を負う結果となる
連帯保証制度が是か非かは大きな問題となっていました。

今後は、連帯保証に過度の期待をせずとも
融資先ごとに異なる保証料率を適用することで、
対応していくということなのでしょう。

2006年03月01日

公正証書

公正証書は、公証役場で作成してもらいます。
決まった公証役場があるわけではなく、
どこでもよいのですが、
当事者が公証役場へ向かう必要があります。

ただし、代理人に依頼することも多く、
その場合は、
本人の実印を押した委任状と本人の印鑑証明書のほか、
代理人の実印と印鑑証明書が必要です。
法人の場合は、資格証明書も必要になります。

手続の流れとしては、
事前に公証役場に電話を入れ、
内容を知らせて、ひな形などをもらい、
文書を作成しておきます。
公証人に予約を入れて、その日時に出頭します。

公正証書作成には、所定の手数料などが必要です。
手数料は、
100万円まで>5,000円
200万円まで>7,000円
500万円まで>11,000円
1,000万円まで>17,000円 ・・・となっています。

2006年01月16日

印鑑の位置づけ

契約書に押す印鑑は、実印でなければ効力がないなどと
いうことはありません。

契約書への押印が求められる場合、
一般的には、実印でも三文判でも同じ効力があります。
登記関係では、特に実印(印鑑登録している印鑑)が
求められたりしますが、

ただ、融資契約書などの重要書類に実印の押印が求められるのは、
通常、実印を第三者が持ち出さないように大切に保管されているため、
実印が押印されることで、本人が確かに自分の意思で契約書を作成したことの
証拠になる、という意味合いが大きいと言えます。

百円ショップで、安価に印鑑が手に入り、印影の偽造も容易になった近頃では、印鑑の意義は低くなっているといえますが、法律上は、押印されているかどうかが重要になることも多いので、印鑑の取扱は慎重に・・・。

2006年01月06日

ファイナンス・リース

一般にリース契約といわれるものは、
顧客が選択した商品(物件)をリース会社が
メーカーや販売会社から購入し、
リース会社が顧客に貸す、という仕組みです。

つまり、商品(物件)の所有権はリース会社に
帰属します。

高額の資金を一気に投入することなく、
商品(物件)を利用できる点が大きなメリットです。

販売会社からすると、
リース会社から販売代金を得ることができるため、
売掛金の回収に関する不安がありません。

このように当事者がそれぞれメリットを有するため、
広く利用されています。

しかし、リース契約では、途中解約が認められず、
たとえ、その物件が不要になったとしても、
所定期間のリース料総額を支払わなければなりません。

リース契約を締結するに際しては、
毎月の支払額だけでなく、必ずリース契約期間中に支払う「総額」も考慮して下さい。

2006年01月05日

下請代金の不当減額

昨年末、公正取引委員会が福山通運に対して、
不当に下請代金を減額したとして、
下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反で勧告しました。

福山通運は、コスト削減のため、
下請業者に対して運送単価の引き下げを要請し、
これに応じない業者に対しては、
「協力費」と称して下請代金から一定額を差し引く
ことにより下請代金を減額していたとのことです。
(減額した金額は下請事業者130名に対し2億874万円あまりで、すでに全額を返金済みです)

平成16年4月に情報成果物作成委託及び役務提供委託が
法律の適用対象に追加されたのですが、
役務提供委託分野では、初めての勧告です。

2005年12月30日

談合防止!

来年1月4日に改正独占禁止法が施行されます。
改正の主眼は、談合防止。

違反行為に対する課徴金の大幅引き上げ、
自主申告した場合の課徴金の減免です。

今年も旧日本道路公団の橋梁工事に関する談合が
取り上げられました。

「談合」は、独占禁止法が禁止する
「不当な取引制限」(カルテル)にあたります。
(カルテルという言葉は、独占禁止法の条文中には出てきませんが、
通常、2以上の同業者が市場支配を目的として、
価格や生産販売数量などを制限する協定・合意をいいます)

カルテルは、価格を不当につり上げ、
非効率企業を温存し、経済全体を停滞させる
などの弊害をもたらすのです。

ただ、談合は「必要悪」などと称され、
相次ぐ摘発によっても根絶が困難でした。
建設業界では、 改正独禁法施行にあわせて、
法令遵守を徹底する方針が打ち出されています。

「受注と独禁法の二者択一を迫られたら、
迷いなく独禁法(遵守)をとるように」
「売上高が減ってもかまわない。会社のためという
弁解は許さない」と前項の支店長に指示
(日経新聞、鹿島に関する記事から)
といったように、強い意思が試されるときといえます。

他方、昨日のニュースを聞いていると、
談合がなくなると、競争が激化して価格が下がり、
それによって、特に中小規模の建設会社では経営が厳しくなる、
つまり倒産が増大する、との見方が述べられていました。
談合防止とともに下請業者保護も強く望まれます。

2005年12月12日

エクソンモービルの減資

先日、税理士さんのセミナーで、
「エクソンモービル(非上場)が資本金を500億円から
1億円に減額すると発表した」ということを聞きました。
資本金を1億円以下にすることによって、
節税効果があるとのことでした。

へぇ~と感心したのもつかの間、
結局、減資は撤回となりました。

「これほどの極端な減資は、企業イメージを悪化させる」
「課税逃れ」
との批判があったことが理由だそうです。

資本金は必ずしも企業の実態を示すものではない、
ともいわれていますが、

いわば、「違法」でなくても、
それが社会から承認されるとは言えないこと
のあらわれといえるのではないでしょうか。

2005年12月11日

法的責任と道義的責任

マンションの耐震強度偽装問題や、
温風機の一酸化炭素中毒事故などに対する
企業の対処が大きく取りざたされています。

企業に対する消費者の期待と
各種法律に基づいて負う法的責任とは、
ときに、ギャップを生じることがあります。

例えば、
耐震強度偽装されたマンションの購入者が
建設業者に対して損害賠償請求したとしても、
その業者が破産すれば、
一般債権者と同じ扱いになり、
配当は数%にとどまることが予想されます。
これは破産という手続の中ではやむを得ないことです。

また、一般的には国に対する法的な責任追及は
難しいのではないかとの見方が多いとも思われます。

しかし、法的責任が認められるか否かによらず、
企業としての社会的責任、道義的な責任は
しっかりと負うべきだというのが、
一般市民の感覚に沿うものです。

かつて公害事件では、長期にわたる裁判で
企業の過失の有無が争われてきました。
アスベスト禍では、
その被害の甚大さに鑑みて、
いわば、法的責任の有無に関する判断を曖昧にしたまま
社会的・道義的責任を重視して
被害者に対する補償策が検討されていますが、まさに
社会の変化であろうと思います。

2005年12月07日

電話機リーストラブルに朗報!

個人事業者が被害者となる悪質な電話機リース商法。
「付近がデジタル回線になるため、今の電話機が使えなくなる」
「電話代が安くなる」などと不実告知による勧誘し、
高額のリース契約を締結させる手法です。

中には、すでに廃業した屋号を用いて契約させるなど、
「事業者」に特定商取引法の適法がないことを
逆手に取ったことが明らかなケースもあったのです。

個人事業主には、原則として、
クーリングオフが認められないことから、
「泣き寝入り」を余儀なくされるケースも多かったのです。

しかし、画期的な救済策が打ち出されました。

一見、法人や事業主名で契約していても、
事実上家庭用の場合には、特定商取引法の適用を認める、
つまりクーリングオフ(無条件の解約)が
できることとされました。

また、これまでは、電話機を購入するに際して、
締結されているリース契約が契約関係を複雑にしていました。
つまり、形式的には、
電話機は販売業者からリース会社に売却され、
それが事業者にリースされる形であるため、
リース会社は、勧誘態様によるクレームを
聞き入れなかったのです。
しかし、このような契約も総合してみれば
1つの訪問販売を行っているという場合には、
いずれも販売業者に該当することとされ、
リース会社に対してもクーリングオフの主張が
できることになりました。

2005年12月05日

下請いじめ

公正取引委員会が、本年度上半期に
下請法違反として行政指導(勧告または警告)
した件数は、2339件と、
前年度の年間実績に迫る件数となったようです。

警告が発せられた2334件中、
1529件が役務提供委託等におけるものであり、
平成16年4月、
下請法の適用範囲が
情報成果物作成委託(ソフト作成など)及び
役務提供委託(貨物運送業務等)にまで
拡がったことが件数増大の原因と思われます。

下請法では、企業が下請事業者に対して、
代金の支払い遅延や不当返品をすることなどを禁じており、
例えば、役務提供に関しては、
役務提供を受けた日から
60日以内に代金を支払うことが義務づけられています。

2005年11月28日

重畳的債務引受

債務引受とは、文字通り債務を引き受けることを
指しますが、
引受の態様により、2種類に分けられます。

一つは、旧債務者から新債務者に債務が引き継がれ、
旧債務者は、債務を免れるもの(免責的債務引受)、

もう一つは、新債務者(債務引受人)が新しく債務者として、
加わるだけで、債権者は、もともとの債務者に対しても
債務の弁済を求めることができるもの(重畳的債務引受)です。

後者の重畳的(チョウジョウテキ)債務引受は、
併存的債務引受とも称され、
連帯保証と同様、
債務者を増やすことによって、
債権回収の実効性をあげるために用いられます。

構造計算偽装問題の渦中のH社は、
マンションを住民から買い取ることを提案しているそうですが、
住宅ローンについては、重畳的に引き受けるという内容だそうです。
確かに、融資をしている金融機関にとってみれば、
破綻懸念のあるH社のみが債務者となることは
受け入れがたいことと思われます。

この場合、住民も債務を免れることはできないため、
H社が破綻すれば、住民に対して弁済の請求がなされるのが通常です。

2005年11月25日

解除と解約

解除と解約、よく似ていますが、
法的意味は異なります。

解除は、その契約がはじめから存在しなかったのと
同様の効果を生じさせること

解約は、将来に向かって契約の効力を
消滅させること

を指します。

つまり、マンションが欠陥であることを理由に
売買契約を始めからなかったことにしようとする行為は、
解除であり、

賃貸借契約を契約期間の途中で止めるのは、
解約です。

2005年11月22日

保証契約

平成17年4月1日に施行された改正民法では、
書面又は電磁的記録によらない保証は無効
とされています。

ただし、
同日以前に締結された保証契約については適用がなく、
書面でなされていなくても有効です。
もっとも、書面化されていない場合は、
裁判等で保証契約の有無が問題となったときに、
立証が困難となります。


民法第446条
1 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、
  その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録
 (電子的方式、磁気的方式その他
  人の知覚によっては認識することができない方式で
  作られる記録であって、電子計算機による
  情報処理の用に供されるものをいう。)
 によってされたときは、その保証契約は、
 書面によってされたものとみなして、
 前項の規定を適用する

2005年11月16日

取引基本契約

事業者間で反復継続して取引が行われる場合に
共通して適用される内容をあらかじめ合意し
定めておくのが「取引基本契約」です。

この場合、
個別の取引は発注書や受注書のやりとりだけで
実行されますが、
予め締結した基本契約の内容が
各個別契約に適用されます。

基本契約では、
主にトラブルが生じた場合の処理を定め、
商品の特定や数量、単価、納期などについては、
各個別契約で定めるといったように、
役割分担がはっきりしています。

この基本契約の役割を軽視すると、
いざトラブルになったときに、
役に立たないということがありますので、
取引開始段階、つまり、
基本契約を締結する時点で、
しっかりとリスク評価をしておくべきでしょう。

2005年10月30日

保証人になるということ

東京三菱銀行が、
無担保、無個人保証の中小企業向け
融資商品を導入するそうです。

通常、中小企業が融資を受ける場合は、
所有不動産を担保に入れるか、
代表者の個人保証が絶対条件です。

代表者のほかにも、会社の役員になっている親族や、
代表者の知人など、全く第三者の保証人を
求められることも多かったのです。

東京三菱銀行は、
新会社法で導入される会計参与制度や
TKC(税理士の全国団体)加入の税理士とともに
決算書を作成していることも条件にしています。

個人が負担する「保証」は通常、
「連帯保証」であり、
連帯保証人は
主債務者である会社と全く同じ責任を負います。
何千万という、潜在的な借金を負うわけです。

そういう重い責任を前提に、
保証人への就任を頼み込むことは
身内に対してでも、本当に大変なことです。
したがって、個人保証を条件としない融資が、
一般的になることが理想でしょう。

他方、事業が危機的な状況に至っているときに
保証人になってくれ、と頼まれた場合は、
じっくりと考えるべきです。
本当にそれがその人のためになるのかどうか。

私はなぜか小さい頃から、祖母に
「人にお金を貸してはいけない。
貸すときは、あげたと思うように」と
教えられてきました。
たぶん、過去の経験からだと思いますが。

同じことが
お金・仕事に満足し、人の信頼を得る法―東京帝大教授が教える
に書いてありました。

「金を貸しても、ただ一時的にその失敗の暴露を
先延ばしにするだけである。
またかえって年月とともに、その失敗の度を
大きくするだけなので、
金を貸してやった親切がかえって仇となり、
いたずらにその人の失敗を
増大させる結果となるものである」

この本、「読んでみたら」と
教えてもらったのですが、
昔も今も大事なことは同じだと
感じることができて、お勧めです。

2005年09月24日

下請法違反

公正取引委員会は、
カシオ計算機に対し、
部品製造の委託先(32社)に支払う代金から、
取引額に応じた協賛金名目で合計8714万円あまりを
減額していたとして、
下請代金遅延等防止法(下請法)違反(下請代金の減額)で、
是正措置をとるよう勧告しました。
カシオ計算機は、
すでに協賛金全額を32社に返還済みであり、
勧告の内容は、
このような下請代金の減額をしないことを
取締役会で確認するとともに、
これを下請事業者に周知することとなっています。

カシオ計算機は、
部品製造の委託先である業者について、
取引開始前に前期より低めの発注基準額を設定し、
基準額を上回った場合には
取引額の1~3%程度を協賛金として下請側が
負担するとの覚書を結んでおり、
下請代金から協賛金を差し引いていました。

下請法は
「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、
下請代金の額を減ずること」を
禁じています。

2005年09月15日

契約書がないとどうなる?

すべての契約に契約書が作成されるわけでは
ありません。

スーパーで買い物をするのも、
映画を見るためにチケットを買うのも、
「契約」を締結したことになりますが、
契約書など作りません。

契約書は、その契約内容が、
スーパーで買い物をするよりもずっと
複雑なので、
当事者間でのきまりごとを
書面化しておくためのものです。

したがって、契約書は証拠に過ぎないため、
契約書がなくても、
契約自体はちゃんと成立しています。

ただ、
その契約に関してトラブルが発生したときは、
契約書がないために、
当事者間で合意した契約内容を
直接に証明する書面がないということになります。

そこで、その契約を成立させるために
やりとりしたFAX文書や、
契約交渉をした担当者が証言をしたり
することで、契約内容を立証していかねばなりません。

裁判で立証作業をする労力を考えると、
契約書を作っておくべきです。
これは重要なリスクマネジメントです。

2005年09月09日

フランチャイズシステムにおける優越的地位の濫用

昨日触れました
優越的地位の濫用について。

加盟者は本部との取引を継続しなければ、
事業自体の継続が不可能になります。
したがって、フランチャイズシステムでは、
ほぼ必然的に本部が優越的な地位にあります。

しかし、本部がその優越的地位を利用して、
加盟者に不当に不利益を与えることは許されません。

しかし、「不当に不利益を与え」ているかどうかは
一義的に決まるものではなく、
本部と加盟者の事業規模、その他契約内容を
総合的に考慮して判断されることになります。

例えば、

<取引先の制限>
商品、原材料等の注文先や
加盟者の店舗の清掃、内外装工事等の依頼先について、
正当な理由がないのに、
本部又は本部の指定する事業者とのみ取引させ、
より安くて、品も良い他の業者と取引させないこと。

<仕入数量の強制>
返品が認められないにもかかわらず、
実際の販売に必要な範囲を超えて、
本部が仕入数量を指示し、
当該数量を仕入れることを余儀なくさせること。

<見切り販売の制限>
廃棄ロス原価を含む売上総利益が
ロイヤルティの算定の基準となる場合に、
本部が加盟者に対して、正当な理由がないのに、
品質が急速に低下する商品などの見切り販売を制限し、
売れ残りとして廃棄することを余儀なくさせること。

<フランチャイズ契約締結後の契約内容の変更>
当初のフランチャイズ契約に規定されていない
過大な費用を要する新規事業の導入を迫り、
これを導入しなければ不利益な取扱をするなどと示唆し、
その導入を余儀なくさせること。

<契約終了後の競業禁止>
必要な範囲を超えて、競業禁止義務を課すこと。
特定地域で成立している本部の商権の維持、
本部が加盟者に対して供与したノウハウの保護等のために、
一定の競業避止義務は必要だが、
地域や期間、内容において必要な範囲を超える場合は
問題である。

2005年09月08日

本部と加盟者との関係(フランチャイズシステム)

FCシステムでは、
加盟店が統一的に事業を行うことが要求されるのが通常です。

加盟者が本部を通じて商品・材料等を購入する
定めがあったり、
営業時間や販売価格についても拘束されるのが通常です。

このような本部と加盟者との間の取引においても、
加盟者に一方的に不利益を与えたり、
加盟者のみを不当に拘束するものであってはならないのです。

このような条項は、
フランチャイズ・システムによる営業を的確に
実施する限度にとどまるものであれば、
直ちに独占禁止法上問題となるものではないと
されています。

ただし、その限度を超え、
加盟者に対して正常な商慣習に照らして
不当に不利益を与える場合には、
本部による優越的地位の濫用に、また、
加盟者を不当に拘束するものである場合には、
抱き合わせ販売等、または、
拘束条件付取引等に該当することがあります。

2005年09月03日

フランチャイズ契約

フランチャイズ(FC)契約とは、一般に、

本部が加盟者に対して、
特定の商標、商号等を使用する権利を与えるとともに、
加盟者の物品の販売やサービスの提供
その他の事業・経営について、
統一的な方法で統制、指導、援助を行い、
これらの対価として加盟者が本部に金銭を支払う
事業形態とされています。

FC契約では、
契約締結前に説明された内容と現実が大きく異なった、
などとして、加盟者が本部に対し、
損害賠償を求めて法廷で争われるケースも
よく見られました。

FC契約では、
本部と加盟者が「本店」と「支店」のように見えるものの、
加盟者は、独立した事業者であるため
本部と加盟者の関係については、
独占禁止法が適用されるとして、
公正取引委員会が、その関係に対する「考え方」を
平成14年に公表しています。

フランチャイズ契約を締結する際の注意事項として、
確認しておくべき点といえるでしょう。
その内容は次回以降に。

2005年08月12日

所有権留保とは

所有権留保とは、
よく自動車の割賦販売(分割払い)で、
用いられる担保のしくみです。

代金を完済するまでは、
売主に所有権を留め置き、
完済して初めて、その所有権が
買主に移転するものです。

普段は、自由に自動車を利用できるので、
外見上は全く変わりませんが、
実は売主から借りていることになるわけです。

仮に、代金の支払が途中で止まった場合は、
売主は所有権に基づいて「返還請求」し、
それを他に売却して、換金し、
代金の弁済に充てることができます。

このような仕組みから、所有権留保は、
「担保」の役割を担うのです。

2005年08月09日

期限の利益

期限の利益とは、
支払期限までは、支払わなくてもよいという
債務者(例えば借りた側)の利益を
いいます。

例えば、
100万円を借りた人は、
100万円を貸主に返済しなければならないのですが、
約定の返済期限までは、支払わなくてもよいですよね。

また、それを分割で返済することにして、
翌月から、毎月末日、
10万円ずつ返済することになった場合、
その人は、毎月10万円ずつを支払えばよく、
100万円を一度に返済する必要はないわけです。

しかし、分割払いの場合、
わざわざ期限の利益を認めてあげたのに、
債務者が返済を怠るような人には、
全額の請求をしたいと考えるのが普通です。

そこで、
契約書には、
「この契約で定めた分割払いを2回分怠った場合は、
本契約上の債務全額につき
期限の利益を喪失し、一時に支払わなければならない」
といった、

期限の利益喪失約款

を盛り込むのが通常です。

その他、期限の利益を喪失する事由として、

差押、仮差押、仮処分を受けたとき、
破産や民事再生の申立をしたとき、またはされたとき
手形不渡の事実があったとき、

等の例示をしておくことが多いです。

2005年08月06日

民事上の「詐欺」

契約の相手(例えばセールスマン)の
説明が全くの虚偽であれば、
「詐欺」として、契約の取消が可能です。

しかし、「詐欺」であったことの立証は、
こちらで行わなければなりませんん。

これがなかなか困難です。

そのセールスマンが最初からだます意思であったことは、
そのセールスマンの頭の中の問題なので、
周辺の事情から裏付けていくしかないからです。

交渉の過程では、ある程度のセールストークは当然
認められるわけですから、
ある一線を越えているかどうかは、
最終的には裁判所が判断するものということになります。

消費者と事業者との契約交渉過程(セールスの仕方)では、
知識が事業者に偏っています。
消費者としては、そのセールスマンが
「本当のことを言っているのか」
「それとも、ウソなのか」を
見抜く力が十分備わっているとは言えません。

そこで、
特に消費者と事業者との間の契約については、

特定商取引法や
消費者契約法によって、

事業者に適切な説明を義務づけ、
特定の契約類型においては、
消費者からのクーリングオフを認めているのです。

2005年08月01日

契約書の裏まで確認!

消費者の場合、

消費者と契約しようとする事業者は、
消費者に誤解を与えないよう、
契約内容を説明する義務を負います。

消費者契約法

第3条 事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、
消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が
消費者にとって
明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、
消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、
消費者の理解を深めるために、
消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての
必要な情報を提供するよう努めなければならない。

これに対し、同じ個人でも、
それが事業に関連する場合は、

商人間の取引であり、

先ほどの消費者契約法のような
ルールは適用されません。

商売をする人は、自ら率先して疑問をなくしておかなければ
ならないのです。

本来は、
契約書の裏面に小さな字で書いてある
契約内容(約款)にも目を通すべきです。

難しいことかも知れませんが、
「知らなかった」では通らないのが厳しい現実です。

最低限、重要なところ、
例えば、
金額、契約期間、中途解約、契約の更新
などは、契約の相手方に口頭で尋ねるなどして
ちゃんと確認しておきましょう。

2005年07月29日

押印の重要性

「実印」は
法人や個人が
法務局や市町村に登録している印鑑を指します。

「認印」は
それ以外の印鑑です。

「実印」と「認印」との間に、
原則として差はありません。

金融機関などから融資を受けるような場合に
「実印」の押印が求められるのはどうしてでしょう。

印鑑証明書の印影と比較することによって、
本人確認が可能なこと、

また、

通常は「実印」が厳重に保管されていることから、
本人が自分の意思で押したものと推定されること、

が理由としてあげられます。

しかし、一般的には、
「認印」による押印でも、問題なく、
法的な効果が認められます。

「認印」だからといって、
安易に押印しないように、注意して下さいね。

2005年07月26日

未成年者との契約

未成年者は、単独では法律行為ができず、
法定代理人の同意が必要となります。

法定代理人は、親権者(親)です。
親権者がいない場合は、
後見人となります。

この「同意」なく、
未成年者が契約を締結した場合は、
これを取り消すことができるとされています。

したがって、
契約の相手が未成年者の場合は、
注意が必要です。

2005年07月25日

諾否の通知義務

「契約は、口頭でも成立する」

というのは、何度かお話ししました。

つまり、契約書などという文書がなくても、
契約は当事者間の合意だけで、
有効に成立します。

当事者間の合意は、
申し込みと承諾に分解できます。

合意が成立した、とは、

申し込みの意思と
承諾の意思が合致したとき、

を指します。

したがって、申し込みだけでは、
契約は成立しないのが原則です。

ただし、商法には特則があります。

商人が、日頃から取引をしている相手方から、
その営業に関する申し込みを受けた場合は、
遅滞なく断らない限り、
申し込みを承諾したものとされます。

「迅速性」の要請が働くためです。

よって、放ったらかしにしていると、
契約が成立して、
商品などの引取義務や代金支払い義務が
発生することがありますので、
注意が必要です。

2005年07月10日

契約書の空欄

契約書などの書類に、
自分が先に署名押印するように指示され、

その際にまだ空欄がある場合、

契約の相手方、その他第三者に
その空欄を埋められてしまったとしたら、

後から、
その書き込みが無断でなされたものだと
反論をするのは、なかなか困難です。

つまり、
空欄のまま署名押印したとすれば、
特別の事情がない限り、

その空欄を埋める権限を与えたのと同じ扱いに
なってしまいます。

日付が空欄というのはよくありますが、
金額が空欄のまま署名してしまった、
なんてこともたまにあります。

まだ空欄が存在する場合は、

それを相手方等に記入されても良いと思われる場合を除き、

自ら記入するか、
あるいは、
契約書への署名押印は留保すべきです。

「自分が納得できるものになって初めて、署名するのだ」
という意識を持つことが必要です。

2005年05月19日

包括根保証の廃止

法改正により、包括根保証が廃止され、
平成17年4月1日から施行されています。

包括根保証とは、

融資を受ける際、
経営者やその家族のほか、知人などの個人が
連帯保証人となる個人保証であって、

保証金額に制限がなく、保証期間の定めがないものです。

したがって、
融資額を増額した場合にも、
改めて保証契約を締結する必要がないため、
継続的取引に利用されるケースが多いです。

ただ、保証人にとってみれば、
保証金額に制限がないことから、
会社が倒産した際には、
契約時に想定していなかった多額の借金について
責任を負う可能性があります。

保証人にこのような重い責任を負わせることには
問題があるということから、包括根保証は廃止されたものです。

もっとも、貸し手にしてみれば、
保証人がいるか、いないか、ということは、
融資を行う際の返済可能性を検討する上での、
重要な要素と言えます。

そこで、保証人制度が適正に運用される方向で、
改正がなされました。

今回、改正の対象となった根保証は、

「主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれる」保証です。

「貸金等債務」とは、
金銭の貸付けや手形割引による債務を指します。

改正された主な観点は、次の通りです。

1 従前は、口頭での根保証契約も有効であったが、
改正法により、書面で行わなければ無効であること。

2 保証人が保証する金額には、必ず上限を定めなければ
ならないとされたこと。

3 保証期間は、契約で定められた5年以内の期間
(定めがないときは、3年間)に発生した債務のみ保証すること。

2005年04月26日

手付金

JR福知山線の脱線事故は大惨事になり、
JRの安全管理責任を追及する声が高まってきました。

さて、今日は、手付金について。

手付金とは、契約成立の際に授受される金銭であり、通常、
代金の一部に充当されるものです。

手付金には、証約手付、解約手付、違約手付という3種類の
性質があります。

まず、契約成立の証拠として授受されるのが証約手付ですが、
それ単独の意味しか有しないものは希です。

むしろ、解約権の留保として授受される解約手付と併せて
利用されることが通常です。
すなわち、特段の合意等が内限り、手付は解約手付と推定され、
相手方が履行に着手するまでは、
手付金を受け取った側は手付金の倍額を返還することにより、
また、
手付金を支払った側は手付金を放棄して、
契約を解除することができます。
前者を手付倍返し、後者を手付流しと言っています。

違約手付とは、手付を支払った側に債務不履行があった場合に、
違約金として受領した手付を没収するものです。

手付が用いられる代表的なものとして、不動産売買契約があります。

なお、住宅ローンを利用して、自宅を購入するような場合は、
住宅ローン特約
(住宅ローンの審査が通らなかった場合は、白紙解約となる)が
付されているのが通常であり、そのような特約がある場合は、
住宅ローンが通らず、不動産を購入できない場合でも、
手付は戻ってきます。

手付と似て非なるものとして、「内金」があります。
内金は、単に、代金の一部を先払いするものにすぎず、
手付流し等による解除はできないのですが、
実際は「手付」と「内金」の区別は曖昧ですので、
契約時になされる「金銭の授受」が
どのような意味を有するのかを確認すべきです。

2005年04月20日

契約書作成の意義

小太郎は、玄関のチャイムがなる直前に
「誰かが来た」ことに気づいて、吠えて私に知らせるのですが、
今日は、ご飯(ドッグフード)を食べている途中で
気がついて、「ばふっ、わん、ばふっ、わん」と
かろうじて吠えていました。
吠えるのも、食べるのも、彼にとっては大事だったらしい。

今日は、契約書の意義について。

通常の契約は契約書がなくても、双方の合意によって成立します。
契約書は、契約内容について双方が合意したという事実を
証拠として残すためのものです。

つまり、当事者間で争いにならないようなことは、
契約書に盛り込まなくてもいいのです。
大事なのは、将来、問題になりそうなことをしっかりと
証拠化しておくことです。

先日の相談では、民法に照らせば、数百万円の金銭の支払いを
しなければならないところ、契約書に支払わなくてもよいと
記載していたことから、「助かった」といえる事案でした。

もちろん、先方が契約書の効力を争ってくる可能性はありますが、
少なくとも、法律上当然に「支払うべき」とはされず、
こちらも十分争えることとなります。

相談者である顧問先の担当者さんは、
「前に、(小島から)大事なことはしっかりと記載しておくようにと
言われたので、いろいろ考えて入れておいたんです」とのこと。
うれしい一言でした。

たびたび、契約書についてお話しするのですが、
常に、「何が争いになるのか」を意識して、契約書をチェックする
ことが必要だといえるでしょう。

2005年04月12日

連帯保証人

今日は、冷たい雨の一日でした。

自治体などに出向いて行う法律相談で、1件は出てくるのが、
保証人の問題。

保証には、単なる保証と連帯保証がありますが、
その大きな違いは、連帯保証の場合には、
「まず、主債務者に催告して下さい」
「まず、主債務者の財産から回収して下さい」という
主張ができないことです。
つまり、連帯保証人は、主たる債務者と同等の責任を
負うことになるのです。

一般的に債務の担保として用いられるのは、連帯保証です。

このように連帯保証人は非常に重い責任を負いますが、
その責任が現実化するのは、主たる債務者に支払能力が
なくなったときです。
主たる債務者は、「月々いくら」で行っていた弁済が遅滞し、
債権者から一括払いの請求を受けるに至ります。
そして、連帯保証人に対し突然、一括払いの請求がくるわけです。

連帯保証人には、まさに青天の霹靂です。
連帯保証人になったことすら忘れている人もいます。
「わたし、連帯保証などした記憶はありません」と言いつつ、
契約書を見ると、自筆で署名され、実印も押してあるなどという
ことがよくあります。

連帯保証人になって欲しいと依頼する側(主債務者)は、
連帯保証人を窮地に陥らせることのないよう覚悟が必要です。
返済の見込みがほとんどないにもかかわらず、
連帯保証を依頼して借り入れをするということは
連帯保証人に対する裏切り行為であることを肝に銘じるべきです。
それ以上行くと、完全な破綻に至ります。
依頼を受ける側も、きっぱりと断る勇気が必要で、その言葉が、
主たる債務者の完全な破綻を防ぐことにもなると思います。

ちなみに、私は小さい頃から、
「人にお金を貸すときは、あげたものと思いなさい」
「絶対に人の保証人になってはならない」と
教えられてきました(私はこれを家訓と言っています)
・・・随分、裏切られた経験があるのでしょうね(涙)

2005年04月11日

下請法(親事業者の禁止事項)

今度は千葉で地震です。
日本のあちこちで、地震が頻発していますね。
我が家では、ペットボトルの水だけは常にストックしています。
地震のたびに、
いらないスニーカーを持ってきて、事務所に「おき靴」をしようと
思うのですが、すぐに忘れてしまいます。

さて、下請法の続きです。
(ちなみに、「おやじぎょうしゃ」と打つと、
まずは「親父」業者と出て、おかしいです)

親事業者は、下請事業者の利益を不当に害する行為を
してはなりません。
法は具体的に規定しており、

◇受領拒否の禁止
下請業者に責任がないにもかかわらず、注文した物品等の
受領を拒んではならない。

◇下請代金の減額の禁止
下請業者に責任がないにもかかわらず、あらかじめ定めた
下請代金を減額してはならない。

◇返品の禁止
下請事業者に責任がないにもかかわらず、受け取ったものを
返品してはならない。

◇買いたたきの禁止
類似品等の価格あるいは市価に比べて、著しく低い
下請代金を不当に定めてはならない。

◇購入・利用強制の禁止
指定の物品や役務を強制的に購入させてはならない。

◇不当な経済上の利益提供要請の禁止
下請事業者から不当に金銭・役務の提供をさせては
ならない。

◇不当な給付内容の変更・不当なやり直しの禁止
下請事業者に責任がないにもかかわらず、費用を負担することなく、
不当に注文内容を変更しまたは受領後にやり直しをさせては
ならない。

◇割引困難な手形交付の禁止
下請事業者に一般の金融機関で割引を受けることが
困難な手形を渡してはならない。

◇原材料等の早期決済の禁止
下請事業者が給付するために必要な原材料等を、
親事業者が有償で支給している場合、
下請事業者に責任がないにもかかわらず、
この有償で支給した原材料等の対価を、下請代金の決済よりも
早期に相殺したり、支払わせたりしてはならない。

◇報復措置の禁止
下請法違反を公正取引委員会等に知らせたことを理由として、
その下請事業者に対して取引数量の削減・取引停止等の
不利益な取扱いをしてはならない。

親事業者に禁止される項目は以上の通りです。

そして、下請法に違反する親事業者には、
公正取引委員会から勧告措置がなされるほか、
罰則も用意されています。

【罰則】
書面の交付義務、書類の作成・保存義務に違反したときは、
50万円以下の罰金

仮に、下請法違反の実態があったとしても、
下請事業者から指摘していくのは困難とも思われます。
下請法の適用対象になる取引分野ごとに問題点が異なりますが、
いずれの分野でも、
親事業者自身のコンプライアンス意識が試されることになるのでは
ないでしょうか。

2005年04月10日

下請法(対象と義務)

今日は、今年一番の暖かさだったようです。

小太郎の狂犬病の注射のため、獣医さんを訪ねました。
(狂犬病の注射はこの時期に自治体から案内がくるようです)

2年ほど前まで、私の自宅近くで勤務していたのですが、
隣の市で独立されました。
小太郎が我が家に来た数日後に、初めて訪ねて以来
診てもらっていたので、少し遠くでも、わざわざ行ってしまうんです。
とても親身なので、安心できるからでしょうか。
今日もいろいろ相談できてよかったです。

さて、先日相談のあった、下請関係のルールについて。

下請事業者を保護する法律として、「下請法」があります。
正式には、下請代金支払遅延等防止法です。

下請法は、親事業者が優越的な地位を利用して、
下請事業者の利益を害することを防止しようとするものです。

下請法の規制を受ける業種は、
もともと、製造業だけでしたが、改正により、
ソフト作成分野及びサービス分野にも広がりました。
すなわち、物品等の製造・修理を委託する取引、情報成果物
(ゲームソフトのプログラム、広告制作等)の作成委託、
役務委託(運送業務の委託等)の取引が該当します。

ただし、下請法は、親事業者がその優越的地位を濫用することを
防止しようとするものなので、そのような関係になりうる場合のみを
規制の対象とし、資本金により、法律の適否を区分しています。

【下請法の適用のある取引関係】
◇物品の製造・修理委託及び情報成果物作成委託・役務提供委託
(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管
及び情報処理に係るもの)の場合
親事業者の資本金が3億円超の場合-
      下請事業者は資本金3億円以下(個人を含む) 
親事業者の資本金が1千万円超3億円以下-
      下請事業者は資本金1千万円以下(個人を含む)

◇上記以外の情報成果物作成・役務提供委託の場合
親事業者の資本金が5千万円超-
      下請事業者は資本金5千万円以下(個人を含む)
親事業者の資本金が1千万円超5千万円以下-
      下請事業者は資本金1千万円以下(個人を含む)

以上のような取引関係にあたる場合、
親事業者には次のような義務が課されます。

◇書面交付義務
発注の際、給付の内容、給付の受領場所、支払代金、支払期日等
を記載した書面を直ちに交付しなければならない。

◇書類の保存義務
製造委託、修理委託、情報成果物作成委託
又は役務提供委託をした場合は、
給付の内容、下請代金の額等について記載した書類を作成し、
これを2年間保存しなければならない。

◇支払期日の定め
物品等を受領した日
(役務提供委託の場合は、下請事業者が役務の提供をした日)
から起算して60日以内のできる限り短い期間内において、
下請事業者との合意の下に
下請代金を支払う期日を定めること。

◇遅延利息の支払い
下請代金の支払いが遅延した場合、給付を受領した日から起算して
60日を経過した日からその日数に応じて年14.6%の遅延利息を
支払うこと。

これらの義務のほか、親事業者は下請業者の利益を
不当に害する行為をしてはならないとされています。
それら親事業者の禁止事項については、また改めて。

2005年04月08日

独禁法(不当廉売)

日中はさわやかなお天気でした。
明日はお花見日和のようで・・・

さて、今日は、独占禁止法について少し・・・

独占禁止法は、公正かつ自由な競争を維持・促進する目的で
企業活動の規律を定めています。

独占禁止法は、
私的独占(企業支配)、カルテル(例えば入札談合)のほか、
不公正な取引方法として具体的な取引態様を禁止しています。

その「不公正な取引方法」の中の不当廉売が問題になりました。

不当廉売とは、
正当な理由がないのに、商品又は役務を、
その供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、
その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、
他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれのあること、と
定義されています。

企業が商品を不当に安い価格である程度継続して販売し、
競争企業等の事業活動を困難にさせる行為を指します。

具体的には、廉売の態様、競争への影響、正当な理由
の三つの観点から捉えます。

◇廉売の態様
不当に低い対価に当たる場合。
市場価格を下回り、かつ、原価を下回る価格であるかどうか
が目安となります。

◇競争への影響
廉売によって、他の事業者の事業活動を困難に
させるおそれがあること

◇正当な理由
不当廉売に正当な理由があるかどうか。
例えば生鮮食料品や季節商品の見切り販売、傷物の廉売は
不当廉売にあたりません。

安ければ安いほど消費者にとっては良いとも思われるのですが、
独占禁止法は、
事業者が創意工夫により良質・廉価な商品を供給しようとする
努力を助長することにより、消費者の利益に沿うことを
目的としているわけです。

なお、不当廉売規制の目的はあくまで公正な競争秩序を維持すること
であって、良質・廉価な商品を供給し得ない、企業の効率性に
おいて劣る事業者を保護するものではありません。