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2008年08月26日

歩合給

近頃、歩合給を試みたいという要望が多くなってきました。
まず、正社員の営業マンについて完全歩合給にして、
成果等が出なければ給料無し、というのでは労働基準法に違反してしまいますので、
一定額の保障が必要です。
最低賃金を上回る時給相当額の保障を考慮しなければならないと
考えられています。

会社としては、成果に対応した給与にし、
社員のモチベーションをアップさせるとともに、
コストの調整をしたいという目的もある場合が多いです。
歩合部分の算出方法の設定は難しいところですが、
会社は、不明瞭による紛争を生じさせないよう十分な配慮が必要でしょう。

2008年03月13日

パートタイム社員の待遇改善

パート社員の時給引き上げや正社員化が報じられていますが、
改正パートタイム労働法が平成20年4月1日に施行される
ことが影響しています。
改正パートタイム労働法
(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、
パートタイム労働者と正社員との均衡を図ることが求められています。

例えば、賃金に関しては、
通常の労働者との均衡を考慮しつつ、
その雇用するパートタイム労働者の職務の内容、
成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、
その賃金を決定するように努めるものとする、
と規定されています。

また、
①通常の労働者を採用する場合、その募集内容を既に雇っている
パートタイム労働者に周知すること、
②通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っている
パートタイム労働者にも応募する機会を与えること、
などの「通常の労働者への転換を推進するための措置」を
とることが義務化されます。

2008年03月03日

労働契約法

3月1日に施行された労働契約法は、
労働契約の基本ルールを定めたものです。

まず、労働契約の締結時には、
・労働契約の内容はできる限り書面で確認すること
とされています。

事業場に就業規則がある場合、
・合理的な内容の就業規則を、
・労働者に周知させていた場合には、
就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件となる
とされています。
つまり、「作っただけ」ではダメです。

労働契約を変更する場合には、
・労働者と使用者が合意すれば変更ができます。
就業規則の変更によって、労働条件を変更する場合は、
・労働者の受ける不利益の程度
・変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
などに照らして、合理的であり、
・労働者に変更後の就業規則を周知させることが
必要です。

労働契約を終了させる際の問題として、
・権利濫用と認められる出向命令は、無効
・権利濫用と認められる懲戒は、無効
・客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上、相当と認められない解雇は、
権利濫用として無効
と定められています。

2008年02月26日

年俸制と割増賃金

未払の時間外割増賃金の支払いを求められる事案が
多く見られるようになりました。

年俸制を取れば、時間外割増賃金が直ちに不要となるかというと
そうではありません。
労働基準法が定める「裁量労働制」(専門業務型・企画業務型)等を採用すれば、
協定で定める時間、労働したものとみなすことができ、
その効果として、時間外割増賃金が発生しないことになります。

年俸に時間外割増賃金を含むという合意をし、
使用者が、基本給部分と割増賃金部分を区別せずに一体として
支払っていた場合について、
割増賃金部分が法定の額を下回っているかが具体的に計算できない
賃金の支払い方法であるとして、合意を無効とする裁判例があります。

2008年02月14日

安全配慮義務

雇用契約のように一定の法律関係にある当事者が、
互いに相手方の身体・生命などを害さないよう配慮すべき
義務を安全配慮義務といいます。
判例上は、雇用契約に限らず、「ある法律関係に基づいて
特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、
当該法律関係の付随義務」として認められています。

請負会社に属する社員が、請負先(工場)で勤務中に発生した
転落事故により死亡した事案で、
請負先の会社に安全配慮義務が課されるかが争われた裁判で、
これを認める判断が出ました。

雇用関係は請負会社との間にあり、
請負社員と請負先の会社との間には直接の契約関係がないのですが、
本件では、実態を検討すると実質的に使用従属関係にあったと
認定されたようです。
契約上の形式的な役割分担にとどまらず、
実質的な安全管理が課題となります。

2008年01月29日

管理職

「店長」が管理職にあたるかどうか(時間外手当支給の対象になるか)が
争われた訴訟の判決があり、大きく報道されています。

そもそも労働基準法では、
「事業の種類にかかわらず監督もしくは管理の地位にある者」には
労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないと
規定されています。

この規定によって、時間外手当が支払われないのかどうかについては、
これまでも、「部長」などの役職名を付されているか否かではなく、
待遇や勤務態様から具体的に判断されてきました。
今回の裁判例も、
経営者と一体的な立場で、
労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、
賃金が優遇されているのかどうかを検討し、
原告には労働時間に関する裁量などが認められていなかったとして、
「管理監督者」にはあたらないと判断し、時間外手当のほか、
付加金(労働基準法が定めるペナルティ)の支払を命じました。

同様に「店長」が多数在籍し、管理職扱いをしている企業では、
影響の大きさは否めません。

2007年09月05日

管理監督者

9月5日付日本経済新聞によれば、
紳士服専門店大手の企業で、
店長全員(約330人)を「管理監督者」から外すことを決めたとのこと。
労働基準監督署から、仕事上の裁量権などを十分に与えられていない
店長もすべて管理職にしていたとして、是正指導を受けたことに
対応した処置とのことです。

管理監督者(労働基準法41条2号)は、
経営者と一体的な立場で、重要な職務と責任を有するために、
労働時間や休憩・休日などの規制の適用がないとされているのであり、
職制上の役付者であればすべてが管理監督者として
例外的な扱いになるわけではなく、
実質的に、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目して判断されることになります。

2007年06月22日

賃金請求の消滅時効

労働基準法115条により、労働基準法上の賃金請求権の消滅時効は2年間です
(労働基準法上の退職金請求権の消滅時効は5年)。

大手人材派遣会社が、派遣労働者の就労時に、
1日一人あたり200円徴収していたデータ装備費を、
廃止日(今年5月1日)から2年間分、返還するとのことです。

2007年06月20日

職場環境配慮義務

昨日、セクシャルハラスメントに関する事業者の責任をテーマにした
研修がありました。
興味深かったのは、セクシャルハラスメントにおける使用者の責任に関して、
職場環境配慮義務を前面に出すアプローチ。

使用者には、労働者が働きやすい職場環境を保つよう配慮する義務があります。
セクシャルハラスメント(あるいはそれが疑われる行為)が存在する職場で、
何ら対応策がとられないと、
使用者は職場環境配慮義務を怠ったものとされ、
「被害者」に対して損害賠償義務を負うということになります。
セクシャルハラスメントの「加害者」が分からないときもありますが
(盗撮や間接的な性的いやがらせなど)、
そのような行為を招く職場環境を放置したとして、
使用者の責任が正面から問われることも考えられます。

2007年05月30日

間接差別

性別そのものでの差別(結婚退職制度など)は減少したものの、
形式的には性別による差別ではなくても女性が満たしにくい要件とするなど、
見えにくい形での差別が存在するため、
改正男女雇用機会均等法では、「間接差別」を禁止しています。

省令では、「合理的な理由がない場合」、間接差別として禁止されるものを
掲げています。
1) 労働者の募集または採用にあたって、労働者の身長、体重または、
体力を要件とすること
2) コース別雇用管理における総合職の労働者の募集または採用に
あたって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
3) 労働者の昇進にあたり、転勤の経験があることを要件とすること

2007年05月29日

改正男女雇用機会均等法

改正男女雇用機会均等法がスタートし、
これまでの取扱いを再点検しておかなければなりません。
改正法での特に気になるポイントは次の点です。
1) 性別による差別禁止の範囲の拡大
  男女双方に対する差別の禁止
  禁止される差別が追加された
  間接差別の禁止
2) 妊娠出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
  妊娠・出産、産前産後休暇を取得したことを理由とする解雇の禁止
  妊娠中・産後1年以内の解雇は原則無効
  (妊娠・出産、産前産後休暇を取得したことを理由とする解雇でないことを
  事業主が証明しなければならない)
3) セクシャルハラスメントの対策
  男性に対するセクシャルハラスメントも対象になった
  雇用管理上必要な措置を講ずることを義務づけ

2007年05月09日

留学費用の返還

「この度、社命により留学することとなりました。
留学終了後、万一、5年以内に自己都合により退職する場合は
留学費用(ただし人件費相当分を除く)を全額返還いたします。」
といった内容の誓約書を会社に提出して留学し、
留学終了後5年経たないうちに会社を辞めてしまった場合、
会社はこの社員に対して、留学費用の返還を求めることができるでしょうか。

この誓約書により、留学費用の金銭消費貸借の合意が成立したかどうか。
成立しているとして、労働基準法16条、14条に反し無効か。
といった点が問題になります。

この点が争われた裁判例(東京地裁H16.1.16)を参照すると、
文言を社会通念に従って判断すると、
社員は会社に対して留学費用について返還約束をしたものと認められ、
弁済期を定めないこととして会社が社員に貸し付け、
留学課程終了後5年間、社員が就労した場合には
返還義務を免除する旨の消費貸借合意が成立したものと認められる、
とされています。

2点目については、
それが損害賠償額の予定又は違約金と見なされ、
退職の自由を不当に制限するものか否かによる。そして、
業務遂行に必要な費用は、本来的に使用者が負担すべきものであり、
一定期間内に労働者が退職した場合に、これを労働者に負担させるという合意は、
それが消費貸借合意であったとしても、
実質的に違約金ないし損害賠償額の予定と認められる。
会社が費用を負担した海外留学が業務性を有し、
使用者がその費用を負担すべき場合には、
留学費用についての消費貸借の合意は、
労働基準法16条ないし14条に違反するものとして無効となるというべきである。

このケースでは、応募が社員の自由意思に委ねられており、
留学先なども選択できたこと、簡単な報告書の提出以外には、
業務に関係のある課題などが課せられていなかったこと、
業務に対し、相当過剰な程度に汎用的な経営能力の開発を目指すものであること、
MBA資格が担当業務に必要なものでないこと、
などから、留学は業務性を有するとはいえないとして、

留学費用を目的とした消費貸借合意は、
実質的に違約金ないし損害賠償の予定であるということはできず、
労働基準法16条ないし14条に反するとはいえない。
結果として、会社からの返還請求が認められました。
ただ、返還金額に関し、「留学費用(ただし人件費相当分を除く)」の中身が
賃金(人件費)に当たらないことが明確とはいえないもの以外の
留学に必要な費用(大学授業料及び大学出願料)をいうと認定されているため、
かなり抑えられています。

業務性の有無に関しては、ケースごと具体的に判断されるでしょうね。

2007年04月20日

労働審判

平成19年4月19日付日本経済新聞(夕刊)によれば、
昨年始まった労働審判制度の申立件数が2月末までに1000件を
超えたとのこと。
労働審判は、
裁判官である労働審判官1名と審判員(労使の代表)2名で
構成される労働審判委員会が、労働者と事業主との間の紛争の
解決を図る制度です。
まずは話し合い(調停)での解決を試みて、
調停がまとまらなければ、審判を出すというものです。

この制度で重視されるのは「早期解決」で、原則として3回以内の期日で
審理を終結しなければならないとされていますが、
平均審理期間が73日だったとこと(これは、ホントに早いと思います)。

そのため、第1回期日までに十分な準備が求められていますが、
限られた時間で事情の聴き取りをして、書類の作成をするのは、
なかなかキビシイです。

2007年04月12日

懲戒解雇

就業規則上の懲戒事由にあたる行為があってから、
かなりの期間経ってから、それを理由に解雇することに問題はないでしょうか。

この場合、やはり解雇権の濫用の問題が出てきます。
会社としては、懲戒処分を行うかどうかを判断するにつき時間を要する場合は、
懲戒処分などを行う権利を留保していることを通知しておき、
判断材料がそろった時点で、速やかに懲戒処分の判断をすべきなのでしょう。

2007年04月09日

有期労働契約について

4月7日放送の生活笑百科2問目について、
解説が十分でなかった点があります。

相談の概要は、60歳の定年退職後に3年の契約で再就職したが、
他の従業員とそりがあわず、1年3か月後に退職した。
会社から損害賠償を受けるのか、というものです。

有期労働契約は、原則、3年を上限として締結することができますが、
労働契約の初日から1年を経過した日以後は、
労働者は使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
この場合は、損害賠償義務を負いません(「原則」)。

ただし、この規定は、
・専門的知識を有する労働者(厚生労働大臣が定める基準があります)
・満60歳以上の労働者
には適用がありません(「例外」)。
かような労働者が退職の申し出をする場面では、「原則」ではなく、
民法628条の適用があることになり、
「やむを得ない事由」が認められる場合に限り、
一方的な雇用契約の解除ができる、ということになります。

今回の相談は、定年退職をした方の有期労働契約であり、
「例外」の場面です。
したがって、「やむを得ない事由」の有無が問題になるのですが、
「原則」がある以上、これに触れるべきでした。
このような説明が不足していたように思われますので、追加させて頂きます。

2007年03月28日

出向

出向には、移籍出向と在籍出向があり、
いずれも出向先の人事権や労務指揮に服することになります。
ただ、移籍出向は転籍であり、出向先との雇用関係のみとなるため、
両者の法律関係は大きく異なります。

また、出向(在籍出向)により労働条件が低下する場合でも、
直ちに出向命令が無効になるわけではありません。
労働時間が短いけれど賃金も安くなるとか、その逆もあるはずで、
比較して「低下しているかどうか」を判断すること自体難しいのですが、
裁判例でも、出向することにより労働条件が従来の条件に比べて、
著しく苛酷な労働条件を強いたものとならないのであれば、
労働条件の低下は受け入れなければならないとするものがあります。

2007年03月26日

身元保証責任の制限

身元保証は、従業員の行為によって会社がこうむった損害を
賠償することを約束することです(身元保証に関する法律)。
身元保証人の責任はとても重いので、
「身元保証に関する法律」では身元保証人の責任の制限も
加えられています。

身元保証人の責任は、期間の定めがなければ3年とされ
(定めがあるときは5年まで)、自動更新をすることはできません。

「身元保証に関する法律」5条では、
裁判所は、身元保証人の責任の有無や、賠償金額を定めるに際して、
使用者側の過失、身元保証するに至った経緯、従業員の任務や身上の変化など、
一切の事情を考慮するものとされています。

2007年02月07日

長時間労働の規制へ

日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの法案への盛り込みは
先送りとなりましたが、
残業代の割増率アップについては、今国会に提出されることが
ほぼ確実となりました。

割増率は3段階で導入される見込みで、
月80時間を超える残業に対しては50%の割増率とされています。
ただ、中小企業(従業員数300人以下の見通し)については、
この50%の割増率の適用を猶予し、3年後に見直しがなされるとのことです。
現在、長時間労働やサービス残業が存在するであろう中小企業の経過措置ですが、
すでに残業代問題は大きな課題です。

2007年01月29日

労働者の同意による相殺

労働基準法24条1項は、
賃金の全額を労働者に支払わなければならないと定めています。

では、会社が従業員に対して損害賠償債権を有する場合、例えば、
従業員が過失によって商品などを壊してしまった場合、
その損害賠償金を給料と相殺する、つまり差し引くことができるのかが
問題となります。

24条1項の規定により、このような場合でも、
使用者側から一方的に相殺することはできませんが、
従業員の同意があれば、相殺が可能です。
ただ、その同意が従業員の「自由な意思」によるものであることを
証明するため、同意することを書面に残しておくべきでしょう。

2007年01月25日

過労自殺による損害賠償請求

1月23日付毎日新聞によれば、
うつ病で自殺した男性従業員(当時24歳)の遺族が、
会社に対して、長時間労働や上司の理不尽な叱責などが原因であるとして、
約9250万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があり、
約7400万円の賠償が命じられたとのこと。

判決では、精神面に配慮し、休養の必要性や適切な異動を検討すれば、
自殺は防げたとし、「安全配慮義務」違反を認めているようです。

長時間労働に、昇格によって増した心理的な負担が重なっている事案あり、
会社側の、健康で安全な職場で働けるよう配慮する義務は
ますます重要になってきています。

2007年01月17日

ホワイトカラー・エグゼンプション導入は見送りへ

1月17日付日本経済新聞によれば、
労働時間規制除外法案[日本版ホワイトカラー・エグゼンプション]
(一定の条件を満たす会社員については、労働時間規制から除外し、
自分の裁量で労働時間を決める制度)については、
見送られることになったとのこと。

制度の有用性より、「残業代ゼロの時代がくる」という
不安の方が大きく取り上げられ、
街でインタビューされるサラリーマンの姿がテレビでもよく流れていましたね。

2007年01月10日

介護と転勤命令

親族の介護が必要であることを理由に転勤命令を拒否する労働者
については、どのように考えればよいでしょうか。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(育児介護休業法)では、

事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で
就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、
その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の
介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、
当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない(26条)。

と規定されています。
そして、厚生労働省の指針では、
会社による「配慮」とは、
例えば、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況を把握すること、
労働者本人の意向を斟酌すること、
配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをした場合の
子の養育又は家族の介護の代替手段の有無の確認を行うことなどが
あげられています。

これらの要素を踏まえて考えると、
その労働者を転勤させる会社の必要性と、
転勤によって労働者が受ける不利益とを比較した場合に、
労働者側の不利益が大きいと判断される場合があり、
その場合には、会社の配転命令権の濫用と認定され、
転勤は認められないことになります。
この傾向は、少子化・高齢化が進むにつれてますます強くなると思われます。

2007年01月09日

配転命令権

就業規則には、
「会社は業務の都合により、従業員に対し、
出張、配置転換、転勤を命じることがある」などの規定が盛り込まれて
いる場合がほとんどですが、
会社の「配転命令権」は、労働契約から想定される合理的な
範囲内の配置転換を指し、それを超える場合は労働者の同意が必要とされます。
すなわち、労働契約上、その労働者について、
就業場所や職務内容について限定している場合は、配置転換について、
労働者の同意を得る必要があるということになります。

また、労働契約の範囲内といえる場合でも、
労働者の利益に配慮して行うべきとされ、それを無視した配転命令は、
「権利の濫用」にあたるとして、無効とされるケースもあります。
例えば、業務上の必要性がないもの、不当な動機・目的による配転などです。

2006年12月26日

裁量労働制

業務の性質上、その進め方などを労働者の裁量にゆだねる必要があるため、
手段や時間配分の決定などに関して、使用者から具体的な指示をすることが
困難な業務については、裁量労働制を採用することができます。

裁量労働制は、労働基準法で定められた制度であり、
実際の労働時間と関係なく、労使間の決議で定めた時間、
労働したものとみなすものです。
企画や専門的業務など、業績と労働時間とが、
必ずしも比例関係にたたない職種を対象とし、現在では適用範囲も広がっています。
労働基準法の改正案では、
中小企業でも裁量労働制を取り入れやすくする方向での検討がなされています。

2006年12月22日

裁判員制度への対応

12月22日付日経新聞によれば、
化粧品大手のマンダムは、
従業員が裁判員に選ばれた場合、審理に必要な期間を
有給休暇として取得できる制度を導入するとのことです。

裁判員制度は、2009年5月までに始まるものとされています。
審理期間をなるべく短くする方策が検討されているようですが、
それでも、従業員がこの間、収入面で不利益を生じると負担が大きいです。

裁判員として手続に参加するために休みをとることは
労働基準法7条で許容され、
仕事を休んだことを理由に解雇などの不利益な扱いをすることは
裁判員法で禁止されますが、
さらに有給休暇として取得できることで、従業員が社会的な義務を
果たせるようにし、
企業としての社会的責任を果たそうとするものといえます。

2006年12月15日

試用期間の延長

試用期間は、労働者を正社員として本採用するまでに、
勤務態度や、能力などを見て、事業者がその人を採用するかどうかを
判断・決定するための機関で、
一般に正社員に比べて広範な解雇権が留保されています。

試用期間として定められた期間を延長することは、原則として許されず、
試用期間経過後もそのまま雇用されていれば、
「本採用」と捉えられる可能性が高いといえ、
その場合、その人を解雇するためには、
客観的に合理的な理由が必要となります。

2006年12月13日

契約社員

契約社員の契約期間が満了した場合でも、
直ちに契約を終了させることができるわけではなく、
これが、無効とされる場合もあります。

・契約更新を繰り返している
・更新の手続が形式的である
・使用者側から雇用の継続を期待させるような言動があった
(「長期間働いてもらいたいと思っている」など)
といった場合には、期間の定めのない労働契約の解雇と同じ扱いとなることがあり、
その場合、使用者は、客観的に合理的な理由がないと
契約の更新を拒絶することはできません。

契約社員であっても、自動更新している場合が多いですが、
トラブルを防止するためには、まず公平な「契約更新基準」を策定した上で、
自動更新ではなく、基準により契約更新の可否を個別に判断することが必要でしょう。

2006年12月12日

メンタルヘルスの管理

平成18年10月28日、自殺対策基本法が施行され、
事業主は、
国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、
その雇用する労働者の心の健康の保持を図るため
必要な措置を講ずるよう努めるものとされました(第5条)。

過労や職務上の人間関係による自殺が発生した場合、
企業の「安全配慮義務」や、「職場環境配慮義務」の違反が
問題にされることがありますが、
今や、事業者が具体的に行動することが求められています。

12月12日付日経新聞では、こういった状況を背景に、
企業による従業員のメンタルヘルス管理を
支援するサービスが紹介されています。
まずは潜在的なストレスをチェックするものが多いようです。

2006年11月21日

整理解雇のルールを定める

厚生労働省が次々と「労働契約法」制定に向けて方針を決定しています。
平成18年11月21日付日経新聞によれば、
会社が整理解雇をする条件として、次の4点を、
解雇の合理性の判断する要素として明文化するとのことです。

1)業績不振など人員削減が必要な理由があるか(必要性)
2)経営合理化など解雇を避ける方策をとったか(回避努力)
3)解雇する社員を選ぶ明確な理由があるか(公正な選定)
4)解雇する社員や労働組合に説明を尽くしたか(理由の説明)

これまでも裁判においては、
上記の各点を総合考慮して解雇の有効性が判断されていました。
それを法律に盛り込む形です。

2006年11月20日

解雇紛争で金銭的解決

厚生労働省は、労働契約法の制定を目指していますが、
平成18年11月18日付日経新聞によれば、
解雇に関する紛争について、金銭での解決手段を盛り込む方針とのことです。

従業員が不当解雇を主張し裁判に発展した場合、
その裁判の過程で、会社と従業員は互いを非難し合うことになるため、
信頼関係は大きく損なわれることとなります。
その結果、仮に解雇が不当であると認定され、従業員としての地位が回復しても、
円満な職場復帰は難しいという問題がありました。

裁判では、会社が和解金を支払うことで解決する場合も多いのですが、
訴えを提起する段階で、補償金請求を認めるのがこの制度です。
つまり、社員が職場復帰を求めない代わりに、
金銭による補償を請求する訴えを認めるものです。
会社を訴える社員にとって、
補償金を勝ち取って紛争を早期決着させる選択肢が加わるということです。
なお、補償金の基準については、
年収の2年分以上とする方向で調整がなされるようです。

2006年11月16日

過労運転の影響

平成18年2月、京滋バイパス(京都府宇治市)で、
3人が死亡したタンクローリーの多重衝突事故で、
車列に突っ込んだタンクローリー運転手の勤務先の運送会社、及び社長らが、
労働基準法違反と道交法違反(過労運転容認)の罪に問われた事件は、
法人に対して罰金60万円、
社長に懲役1年2か月、
同社運輸課長に懲役1年執行猶予3年
という判決が言い渡されたと報道されています。
(すでに、運転手に対しては、業務上過失致死傷罪等で、
懲役4年6月の刑が確定)

社長らは、事故前日の2月12日、
運転手が過労で正常な運転ができないことを知りながら、運転を認めたもので、
判決理由では、
運転手の過労を明確に認識しながら取引量を減らさず、利益を追求した会社の
会社の体制、体質が事故の原因と言っても過言ではない、
などと述べられています。

さまざまな問題が凝縮された事故であり、
ずさんな労務管理や利益偏重の姿勢に警告を発するものといえます。

2006年11月06日

偽装請負

形式的には「請負」や「個人事業主」として契約がなされていたとしても、
発注者が直接、請負労働者等を指揮命令していることを指す、
いわゆる、偽装請負が大きく取り上げられています。

職業安定法は、労働者供給事業を原則として禁止し、
特別法によって派遣という形式を認めています。
そして、請負契約を締結して労働者を会社に送り込み(=供給)、
その労働者がメーカー等の指揮命令下で働いている場合、
許可されていない労働者供給行為として
「職業安定法」や「労働者派遣法」に違反することになります。

職業安定法施行規則第4条では、

1)作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負う
2)作業に従事する労働者を、指揮監督する
3)作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負う
4)自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)
もしくはその作業に必要な材料、
資材を使用し又は企画もしくは専門的な技術
もしくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、
単に肉体的な労働力を提供するものでない

という4つの要件をすべて満たさない限り、
労働者供給事業を行う者、すなわち派遣を行っている者とみなされることになります。
このように派遣でなく、請負の形式をとる背景としては、
コストダウン、労働者入れ替えの容易さがあります。

2006年09月29日

紹介予定派遣

9月28日付日経新聞によれば、
人材派遣業界では、紹介予定派遣の需要が急拡大し、
価格競争にさらされず手数料も安定しているとのこと。

紹介予定派遣は、「派遣契約満了時もしくはその前に、
派遣先会社と派遣労働者の双方に派遣期間が終了した後の
直接雇用(正社員)の意思を確認し、双方が了承すれば、
直接雇用をすること」を予定して始まる派遣です。

通常の人材派遣とは異なり、
事前面接・履歴書の送付も可能で、
派遣期間は最長6ヶ月間です。
この期間に企業側は労働者の適性等を、
労働者側は仕事内容や職場の雰囲気をそれぞれ見極めることができ、
採用後のミスマッチの発生を防止できると期待されています。

2006年09月27日

セクハラ相談窓口

会社にセクハラ相談窓口を設けているでしょうか。

平成19年4月に施行される改正男女雇用機会均等法では、
事業主にセクハラに関する対応「措置」を義務づけています。

現行法では、
セクハラに関する雇用管理上必要な「配慮」が義務づけられていますが、
さらに積極的な対応が求められます。
現行法下での指針では、配慮義務の内容として、
1)方針の明確化(社内広報)
2)担当者の設置
3)事後の迅速・適切な対応
などと具体化されています。
改正法によって、予防、解決のための積極的な措置が必要となります。

なお、改正法では、男性へのセクハラも対象となり、
指針により、派遣労働者については、派遣元だけでなく派遣先にも措置を
義務づけられる見込みです。

2006年09月21日

社員に課される規範

9月21日付日経新聞によれば、
ある損保会社が、今年5月頃、全社員に対し、
「弁護士に法律相談をする場合は、会社の事前承認が必要」といった内容の
「行動規範」を定め、これに従うという内容の確認書に署名を求めたことに対して、
社員15人が、行動規範の無効確認などを求める訴訟を起こしたということです。
「裁判を受ける権利を保障した憲法などに違反する」という主張です。

なお、プライベートな内容まで対象にするのか、
業務上のことがらに限定するのかどうかには、
触れられていないので分かりませんが、
違反した場合には、懲戒処分や訴追の対象になるというのですから、
それを前提にすると、かなり厳しい制約ですね。
会社側がこのような内容を盛り込んだ根拠も興味のあるところです。

2006年09月15日

従業員が自己破産したら

種々の理由により多額の債務を抱え、自己破産した従業員を
「破産」を理由に解雇することができるでしょうか。
この「破産」という事実は、プライベートな問題であり、
会社に具体的影響がない限り、解雇の理由とはなりえないでしょう。

ただし、多額の債務を負っている状態によって、業務がままならない場合は、
その状況を指導することは当然に必要です。
また、このような事実が発覚した後は、経理部門に所属させることは
適当とはいえない場合が多いため、配置転換は許されるものと考えます。

2006年09月01日

労働法制の改正について

以前のブログでお話しした労働法制の改正に向けての審議会は、
労使の激しい反発により中断していたのですが、
9月1日付日経新聞によれば、
このほど、厚生労働省の素案を白紙に戻して、議論を再開するとのこと。

対立点は複数あるようですが、
1)残業時間の賃金割増率の引き上げ
2)ホワイトカラーの勤務時間の自由化
が大きく取り上げられていて、労使双方の調整はやはり難航しそうですね。

2006年08月01日

会社の社員に対する責任

社員が顧客に対して訴訟を提起するに際し、
会社が支援する事例が出てきました。

7月31日付日経新聞によれば、在日コリアンの男性社員が
顧客を訪問した際に差別的発言を受けたとして会社に報告。
会社は「勤務中に起きたことであり、顧客であっても発言は許されない」
として、会社として対応することを決定。
上司が顧客に事実関係確認などの対応をしたものの、
顧客は謝罪せず。
そこで、社員は顧客に対し、慰謝料・謝罪を求める訴訟を提起することを決意し、
会社は、弁護士費用など訴訟費用全額を負担し、
本人等が裁判に出席するために職場を離れる場合、勤務時間と認めることも
決めたいうことです。

お客様は神様です、という考えからはなかなか出てこない選択でしょうか。
ニュースでも大きく取り上げられていました。
企業は社会的責任を担いますが、最も身近な被用者に対する責任を重視することで、
このような事例も増えるのではないでしょうか。

2006年07月24日

従業員に対する損害賠償請求

従業員が業務中に過失により自動車事故を起こした場合、
これにより「会社」が被った損害を従業員に賠償請求できるでしょうか。
判例上、会社から従業員に対する損害賠償請求は制限されるものとされています。

会社は従業員の活動により利益を上げており、ここから発生した損害について、
そのすべてを従業員に負担させることは
公平の観点から受け入れられないということです。

制限されるとして、どの程度請求ができるかは、事案により異なります。
割合を決定する際には、
労働者の過失の程度、会社の管理体制、損害賠償による補填の有無、
労働者の勤務態度・資力などが考慮されます。

2006年07月20日

派遣労働の適正化へ

7月20日付けの日経新聞によれば、
派遣労働に関する法令違反で是正指導した件数が急増しているとのこと。
いわゆる偽装請負が多く見られるようです。
B社がA社からシステム開発を請け負って、B社の社員がA社内で
作業をする場合、この社員は、本来B社の指揮命令により作業するべきですが、
実際には、B社を通さずA社から直接指揮命令を受けるというものです。
このような態様は、
職業安定法第44条(労働者供給事業の禁止)に違反することになりますので
注意が必要です。

2006年07月19日

取り込み詐欺

商品を売ったものの、代金がもらえない場合、
「取り込み詐欺だ」と言われますが、
刑法上の詐欺が成立するかどうかは必ずしも明らかではありません。

代金を支払うつもりがないにもかかわらず、
あたかも代金を支払うように偽って、商品を仕入れる場合がこれにあたりますが、
「はじめから代金を支払うつもりなく、仕入れたのだ」という
立証はなかなか困難です。

通常は、いきなり大きな額の取引をするのではなく、
小口の取引を数回誠実に行って信用させるのです。
結局、相手と取引に入って良いかどうかを見極めて自衛せざるを得ません。

2006年06月19日

「間接差別」

改正男女雇用機会均等法が、6月15日に成立し、
来年4月から施行されます。

今回の改正には「間接差別の禁止」が盛り込まれています。
間接差別は、表面上は性別に無関係とされるが、
結果的に採用や昇進の男女差別につながる処遇のことで、
その基準に合理性のない場合は差別とみなされます。

全国的な転勤を総合職の採用要件とする
身長、体重、体力を募集・採用の要件にする、
転勤経験を昇進の要件にする、
という3つの具体例が省令で示されます。

2006年06月15日

労働基準法改正への動き

厚生労働省が労働基準法改正へ向けて、
素案を提示しました。

残業が月30時間を超える場合に、割増率を25%→50%に引き上げ
月40時間を超える場合には、自動的に休日を1日与える
(75時間を超える場合は、自動的に2日与える)
派遣・パート社員について、雇用契約が1年以上経過するか、
3回以上連続の契約更新する場合、
希望すれば正社員として雇用することを義務づけ

など、会社の負担が増大する内容のため、
法改正等に至るまでには調整がなされる可能性が高いと思われます。

2006年06月12日

競業避止義務契約

在職中に知り得た秘密などを利用した、他社への就職を禁止したり、
ライバル会社への就職を禁止する「競業避止義務契約」。
この契約は、憲法上の権利である職業選択の自由や営業の自由に対する
制限となりうるものです。
そこで、裁判上は、非常に厳しい要件の下でのみ契約の
有効性が認められる傾向にあります。

義務を負う期間、
職種の限定の仕方、
代償の有無(退職金の上積みなど)などが、合理性に定められているかどうか
(会社の側の利益ばかりが優先されていないか)が検討されます。

2006年05月23日

会社のセクシュアルハラスメント対策

男女雇用機会均等法では、
職場におけるセクハラの防止のため、
事業主が雇用管理上必要な配慮をしなければならないと規定されています。
事業主が配慮すべき事項は、厚生労働大臣の指針で定められており、
次の3項目については業種や規模を問わず、すべての事業主に対し、
義務づけられています。

◇職場においてセクハラに関する方針を明確化し、
 労働者にこれを周知し、啓発すること。
◇相談・苦情への対応のための窓口の明確化し、
 相談・苦情へ適切かつ柔軟に対応すること
◇セクハラが生じた場合の事後の迅速かつ適切な対応

特別に窓口を作ることは難しくても、
人事担当者や女性の労働者など、予め処理担当者を決めておくことで
対応することもできます。
要は相談しやすい環境にしておくことです。

以前のケースでは、女性から申立を受けた労働基準局から、
「これまで1件も相談がないのはどうしてか」と聞かれたことがあります。
相談がない=相談しやすい環境にない、という判断が働く場合が
あるようです。

なお、昨日の

この法律で対象となるセクシュアルハラスメントとは、
◇職場において行われる
◇女性の意に反する性的な言動であり、
◇それに対する女性の対応により、女性労働者が、
  労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりするものであること
とされています。

「就業環境が害されたりする」ってどんな場面?と
お尋ねがありましたが、

上司から執拗にデートに誘われたがこれを断ったために、
労働条件面では不利益を受けなかったけれど、
部下の女性は、断れば上司との関係が悪化するのではないかと心配して、
苦痛を覚える場合があげられます。

2006年05月22日

職場におけるセクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントと言われているものの態様には、
強制わいせつ罪に該当するようなものから、マナー違反の範囲に属するものまで、
非常に幅があります。

ただ、男女雇用機会均等法によって、
事業主に対し、防止のための配慮義務が課されるセクシュアルハラスメントは
一応限定されています。

この法律で対象となるセクシュアルハラスメントとは、
◇職場において行われる
◇女性の意に反する性的な言動であり、
◇それに対する女性の対応により、女性労働者が、
  労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりするものであること
とされています。

2006年03月21日

アフターファイブのけんか

仕事と全く関係のない飲み会のあと、
見ず知らずの人と些細なことがきっかけで、
けんかになってしまった、
これが会社にばれると、
直ちに解雇されるのでしょうか。

会社の就業規則には、
会社の名誉を傷つけ、あるいは、信用を
損ねる行為をしてはならない、
という規定がある場合が多く、

犯罪を犯して、会社の信用を大きく損ねた場合は、
たとえ、就業時間外の行為でも、
処分の対象になる可能性が高いです。

他方、犯罪を犯せば直ちに解雇の理由になるかといえば、
そうではなく、
会社の体面を著しく汚したといえる場合でなければ、
解雇の対象にはならないというのが一般論です。

そして、従業員の不名誉な行為が
会社の体面を著しく汚したというためには、
行為の性質、情状のほか、
会社の事業の種類・態様・規模、
会社の経済界に占める地位、経営方針
及びその従業員の会社における地位・職種等
諸般の事情から総合的に判断して、
会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると
客観的に評価される場合でなければならないと
されているのです(最高裁判例)。

2006年03月07日

希望退職の募集

希望退職の募集は、
従業員の「自発的な」退職の申し込みを募るもので、
企業の雇用調整の手段として行われます。

希望退職制度を実施する場合は、
目的、応募の条件(職種、年齢など)、応募期限、募集人数
などを公表します。

そして、
通常の退職よりも有利な条件が提示されることが多く、
その内容としては、
退職金の上積み、一時金の支給などがあげられます。

2005年12月14日

受動喫煙

たばこ税が引き上げられる方向です。
税率が上がれば、喫煙を止める人も増えるのでしょうか。

健康増進法が施行され、
受動喫煙の防止対策が義務づけられたこともあって、
今や、、禁煙・分煙が常識になりました。
一方で、残業時間になるとモラルがなくなるという話も
ききます。

例えば、受動喫煙で病気になったとして、
勤務先に対して、損害賠償請求をする場合、
立ちはだかるのは、「因果関係」です。
受動喫煙によって、病気になった、あるいは悪化した
という立証は難しいと思われます。

勤務先に分煙を求めるのであれば、
一般的なリスクを理由とすることも可能であり、
損害賠償請求よりは容易と思われます。

2005年10月29日

紹介予定派遣

紹介予定派遣を利用、検討する
企業が増えているといいます。

紹介予定派遣とは、
派遣期間終了後に派遣社員と企業の双方の
希望が一致すれば正社員として
企業が直接採用できるシステムです。

正社員採用を増やしたい一方で、
大卒者の離職率が高まっていることから、
職場での適正を判断した上で
採用できるこの制度の利用が進んでいるようです。

なお、派遣期間は最長6ヶ月間で、
企業が正社員に採用すると、
派遣会社に紹介料が必要となります。

2005年04月23日

解雇のルール

突然ですが、納豆のはなし。
私は納豆が全然ダメだったのですが、司法修習生のときに入っていた
寮のごはん(お米)が、あまりおいしくなかったのがきっかけで
納豆に手を出すことになり、それ以来、
納豆を単独で(ご飯の上にのせることなく)食べるのが、
割と好きです(納豆巻きとかは未だに無理)。

たぶん、新製品だと思うのですが、
ミツカンの「金のつぶ」シリーズの「梅風味黒酢だれ」は
納豆独特の臭みもなくてとても食べやすいのでちょっとはまっています。
納豆好きの人はものたりないかもしれませんが、
初心者にはグッド!(これ、今日も買っちゃいました)。

今日は、労働問題です。

会社に意見したら急に解雇された人がいまして
自分で裁判をおこしたいとの事です。
簡単で良いのでどういった手続きをしたら良いか
教えてもらえませんか。

というお問い合わせ。

まず、何を求めるか、です。
つまり、解雇の無効を争い、
従業員としての地位の回復を求めるのか、それとも、
そんな職場は辞めてもいい、ということで、
(おそらく)未払いになっている解雇予告手当を求めるのか。

客観的に合理的な理由のない解雇は、解雇権の濫用と解され無効です。
労働契約を継続しがたいような
やむを得ない事由のあるときに認められる解雇を普通解雇といい、
労働能力に問題があったり、勤務態度が不良といった事由に基づいて、
解雇する場合がこれにあたります。
もっとも、一応のこれらに該当する事由があったとしても、
すぐに解雇の理由となるわけではありません。

判例でも、「普通解雇事由がある場合においても、
使用者は常に解雇しうるものではなく、
当該具体的な事情のもとにおいて、
解雇に処することが著しく不合理であり、
社会通念上相当なものとして是認することができないときには、
当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効」とされています。

解雇事由に当たるかどうか、主観的でなく客観的に判断できるのか、
ということですね。

労働者としては、労働基準監督署等に相談するなどして、
会社側の適正な対応を求めるべきでしょう。

会社がこれに応じないときは、地方裁判所に
「地位保全の仮処分」を申請します。
労働者としての地位を仮に保全することができるもので、
2か月あまりで、結論がでることが多いようです。
手続的には、仮処分の申請書を地方裁判所に提出、
その後、裁判所が双方の言い分を聞く、
最終的に、「仮処分の決定」をする。

これにより、仮に地位が回復します。
会社側が争うときは、本訴で最終的な判断が出ますが、
その期間は、仮処分の手続よりも長期(1年弱)となります。

他方、解雇理由の存在自体はあえて争わず、
金銭的な解決を問題とするならば、
適正な解雇手続に則って解決することになります。

使用者は、労働者を解雇する場合は、
原則として、少なくとも30日前に解雇の予告をするか、
30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません
(解雇予告手当)。

少なくとも解雇しようとする日の30日前に解雇日を特定すべきです。
30日前の予告であっても、
解雇日が不確定な予告や条件付の解雇予告は、
適法な解雇予告とはいえません。

解雇予告されてから解雇に至るまでの間は
これまでどおりの雇用契約関係が継続され、
労働者は通常の労務を提供し、
使用者はその分の賃金を支払うこととなります
(解雇予告手当なしなら、30日間です)。 続きを読む

2005年04月04日

競業避止特約

今朝は、少し冷えましたね。
桜が楽しめるまで、あと一歩という感じです。

さて、最近の起業ブームも相まって、
社内で積んだキャリアを糧に、独立する場合に関連する
問題です。

せっかく確立したノウハウを持って独立されたら、
たまったものではない、ということで、
従業員との間に競業避止特約を盛り込んでいる会社も多いでしょう。
この競業避止特約に関しては、たくさんの裁判例があります。

在職中は基本的に有効とされていますが、
退職後は、職務専念義務もないため、原則として無効とされる場合が
多いようです。

退職後の競業避止特約により、
元従業員の職業選択の自由は制限されますし、そこで生じる競争は、
「自由競争の範囲である」とする判例が多いように思います。

しかし、ある程度の地位にある者(いわゆる幹部社員)は、
在職中の給料も高額であることなどから、
一定期間ならば有効とされる可能性があります。

退職後の競業避止の範囲がある地域に限定されていたり、
特約に、保証金などの対価が用意されていれば、
有効とされる可能性も高まってくると思われます。

どうしても、競業を禁止したいなら、対価を与えるという選択もあり、
ということになります。

では、
自身だけでなく、他の従業員の引き抜きを行った場合はどうでしょう?
この場合、会社としては他の従業員が引き抜かれたことにより
被った損害の賠償請求を行うことになります。

裁判では、引き抜き等の態様が「社会的相当性」を逸脱
しているかどうかが判断されます。
引き抜かれた人数、会社に対して及ぼした影響、
勧誘の方法など、さまざまな事情が考慮されます。
従業員側からすると、「会社に対する不信感から転職を決意した」と
いった主張が出てくるでしょうね。

もっとも、こういった主観的な事情は、なかなか判断が難しく、
「裁判所からかわいそうに思われたら勝ち」ということがあり得ます。

2005年04月02日

無断欠勤社員

今日は、お気に入りにCDを
聞きながら、事務所の机周りを整理しました。
その後、商法改正の原稿に取り組んでいましたが、
普段よりも随分はかどった気がします。

友人のコンサルタントNHさんが、
何度もメルマガで教えてくれるように、
やっぱり整理・整頓は大切なのですね~。

さて、
最近立て続けに「突然欠勤したまま出てこない社員」
が出現して困ってしまいます。
会社は、その業務に他の従業員を充当しなければなりませんし、
これを許す風潮が生じては困ります。

したがって、無断欠勤を続ける場合には懲戒解雇とせざるを
得ないでしょう。

・・・しかし、無断欠勤をした挙げ句に、しばらくして難癖をつけ、
退職金や解雇予告手当を請求してくる従業員がいるのです。

したがって、このような問題が生じないような退職処理を
しておくのが適当です。

◆就業規則上の対策

「2週間(一例です)以上無断欠勤が続いた場合には、
退職扱いとする」といった記載を入れておく。

これにより、期間の経過とともに当然に契約は終了しますので、
解雇予告の問題は生じません。
(ただし、この一定期間の妥当性については、
1か月程度必要だ、等の争いがあります)

また、「無断欠勤が2週間(一例です)以上続いた場合」を
懲戒事由として規定しておくことも必要です。

さらに、退職金規定上、「無断欠勤により退職扱いとなった場合は、
退職金の支払いに関し、懲戒解雇された場合と同様に扱う」と
しておけば、後に退職金請求された場合に、対抗することができます。

◆会社が黙認したと言われないために

ただし、「無断」欠勤であったかどうかが問題となることもあります。
したがって、会社としては出勤を促した、
という事実を残しておきましょう。
電話、手紙、訪問など、会社にとっては煩雑ですが、
後に、このモンダイ従業員から、「会社が黙認したんだ」という
主張をされないために、実践して頂きたいと思います。

2005年04月01日

労働者に対する違約金の定め

最近、労働問題に関するご相談が続いていますので、
少し、労働関連のお話をしてみたいと思います。

労働基準法に定められた「違約金禁止」に関連する
法律相談がありました。

労働基準法には、「使用者の労働契約の不履行について
違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしては
ならない」と定められています。

労働者が会社に対して損害を与えた場合は、もちろん「損害賠償義務」が
発生しますが、事前に「額」を定めておくことは許されないのです。

憲法上職業選択の自由が認められることを前提に、
労働者の職業選択(離職)の自由を確保するため、
足かせを許さないというものです。

例えば、遅刻した場合は、1回につき1万円を支払う、
というのは、違約金にあたり、労働基準法違反となります。
(ちなみに、罰則も用意されています)

最近の問題としては、サイニングボーナスがあげられるでしょう。

中途採用時に一時金(ボーナス)200万円を支払うが、万が一、
1年以内に退職した場合は、全額会社に返還することが
条件となっていたところ、本人は半年後に自己の意思により退職。

このような定めは、先ほどお話しした違約金の禁止に
触れないでしょうか。

一定期間(1年間)会社に拘束することを
目的とした経済的な足止め策と受け取れ、
違約金ないし損害賠償の予定として、
労働基準法に違反するとした判例があります。

同様に、海外大学院の学費を会社が負担するが、帰国後一定期間
勤務を継続しない場合は、これを会社に返還しなければならない、
いった定めがあった場合に、本人は帰国後まもなく退職してしまい、
会社がその費用の返還を求めることができるか否かが争われた
訴訟でも、その費用は会社の業務遂行のための費用
といえるから、返還の合意の実質は違約金の定めに当たるとして
返還請求が認めれませんでした。

会社には厳しい判断です・・・