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離婚

離婚のご相談は年々増加しています。ときに感情的な対立が激しくなることもありますが、離婚で問題となる法律的な要素は多くはありませんので、まずはポイントを押さえておきましょう。




離婚については、納税月報平成22年4月号でもご案内していますので、あわせてご覧ください。




離婚の手続

離婚には3種類の手続があります。

協議離婚 夫婦が離婚について話し合いをし、合意に至れば、離婚届を適正に作成します。

これを役所に提出すれば、離婚は成立します。
離婚調停 感情的に対立して離婚の協議が進まないときや、決裂してしまったときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

離婚については、いきなり訴訟を提起することはできず、まず、調停で話し合いをすることが求められます(調停前置主義)。

離婚調停は、原則として、相手方の住所地を管轄する裁判所に申し立てます。調停では、男女1人ずつの調停委員が、双方の話を聞きつつ解決に向けて調整していきます。調停が成立するまでの間は、原則として夫婦が同席することはなく、入れ替わりで調停室に入り調停委員に話をすることになります。
離婚訴訟 調停で離婚が成立しないときは、離婚訴訟を提起することができます。調停が不成立になったからといって、絶対に離婚訴訟を提起しなければならないということではありませんが、離婚を希望する場合には、訴訟を提起し、裁判所に判断を求めることになります。

このように、離婚協議は、話し合い→離婚調停→離婚訴訟という流れで進めていきます。

離婚協議書

離婚協議の結果は、後で争いとならないよう、離婚協議書としてまとめておくとよいでしょう。なお、離婚調停の場合は、裁判所が書面を作成します(調停調書といいます)ので、夫婦間で離婚協議書を作成する必要はありません。

離婚協議書には、A1に記載したポイントのうち、ご夫婦に関連するものを含めるようにし、それ以外にも、子どもと親との面会交流など、夫婦間で約束した事項を盛り込みます。

離婚原因

お互いが離婚に同意しない場合は、最終的には裁判所が夫婦を離婚させるかどうかを判断します。裁判所が夫婦を離婚させるためには“理由”が必要であり、その“理由”は民法770条に定められています。

第770条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
  6. 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

    民法770条第1項第5号は、やや抽象的な内容です。第1号から第4号に当たるような事実が無い場合でも、第5号の規定する「婚姻を継続しがたい重大な事由」が夫婦間にあれば、離婚が認められます。

    「別居期間が△年続けば、離婚できる」という話も耳にしますが、条文では、別居期間は理由に挙がっていません。別居が長く続いた場合に、直ちに離婚が認められるというわけではなく、その夫婦において、△年間の別居生活によって夫婦関係が修復しがたい状況に至ったといえるかどうか=「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかが裁判所によって判断されるのです。

婚姻費用(生活費)

①婚姻費用の請求根拠
夫婦は互いに協力し扶助する義務があり(民法752条)、資産、収入その他一切の事情を考慮して婚姻から生ずる費用を分担することとされています(民法760条)。別居したとしても、原則として、婚姻費用(生活費)の支払義務が存続することとなります。
②請求を拒絶することはできるか?
婚姻費用の請求を受けた側としては、「何の断りもなく家を出て行ったのだから支払う必要はない。」「夫婦には同居義務があるのだから、生活費を要求するくらいなら帰ってくればいい。」と反論したいときもあると思います。

まず、同居義務については、“現実において夫婦間の信頼関係が全く失われ、円満な婚姻共同生活の継続が期待できない場合は、具体的な同居義務を形成することはできない。”とされています(東京家裁昭和43年6月4日審判)。

では、別居の原因が出て行った配偶者の側にある場合はどうでしょうか。“婚姻の破綻状態に至った責任の大半は申立人にあるが、全面的に申立人ひとりの責任とも言い切れない場合、婚姻費用分担の程度は、相手方と同じ程度の生活をさせる必要はないが、少なくとも申立人において最低生活の維持を可能とする程度において分担する義務がある”とされています(同上)。

したがって、無断で家を出て行った相手方配偶者に対する婚姻費用(生活費)の支払いを一切行わなくて良いとされるケースは極めてまれであるといえます。
③婚姻費用の金額
このように、別居中の夫婦間でも生活費の支払いは必要となるわけですが、一体いくら請求できるのでしょうか。例えば、同居中に受け取っていた生活費と同額を請求し、相手方がそれに同意してくれれば問題はありません。しかし、別居によって、それぞれに生活費を要するわけですから、従前と同じ額を受け入れてもらうことが難しい場合が多いでしょう。

弊事務所では、裁判所が利用している婚姻費用算定表などをもとに、適正額や請求額のご相談をしております。
④法的手続
婚姻費用については、夫婦間で話し合いをし、合意ができればそれに従います。しかし、金額について双方が合意できなければ、家庭裁判所の調停・審判手続によって適正額が定められることになります。

家庭裁判所の調停では、夫婦の資産、収入・支出など一切の事情について、双方から事情を説明することにより、双方が納得できる額に調整が図られます。それでも合意ができない場合は、調停は不成立となりますが、自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が、夫婦間の一切の事情を考慮して、婚姻費用の支払義務や金額について結論を出します。

財産分与

①財産分与請求の根拠
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、分けることです。民法は、離婚した者の一方は、相手方に対して、財産の分与を請求することができると定めています(民法768条1項)。
②財産分与の請求
多くの場合、離婚協議の中で、財産分与についても話し合われます。しかし、離婚協議の中で触れられなかったときは、離婚後でも財産分与を請求することができます。

例えば、離婚協議の中で、夫が妻に対して金銭を支払うことが決まった場合、夫としては、その金銭を支払えば離婚に関する紛争は全て解決したものと思っていても、夫婦の合意の内容が明確でなければ、後に、妻から「財産分与の請求」を受ける余地があります。そこで、上記の金銭の支払いが財産分与の意味合いを含んでいるのであれば、離婚協議書を作成するなどして、そのことを明記しておく必要があります。
③法的手続
離婚前の場合は、離婚協議(離婚調停)の中で財産分与について話合いをすることができます。

離婚をした後に財産分与を請求したところ、財産分与について話合いがまとまらない場合には、離婚のときから2年以内に家庭裁判所に調停の申立てをして、財産分与を求めることができます。話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が一切の事情を考慮して、財産分与の有無やその内容について結論を出します。
④財産分与の対象
財産の名義にかかわらず、それが夫婦の協力によって築かれた財産であれば、財産分与の対象となります。例えば、双方の預貯金、保険(解約返戻金)、不動産、株式、自動車などです。逆に、婚姻中に生じた財産であっても、夫婦の協力によって築かれたものでない場合(親から相続した財産など)は、その人の固有財産であり、財産分与の対象とはなりません。

なお、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も財産分与の対象となり得ます。婚姻期間が短い夫婦の場合、自宅の住宅ローンがかなり残っていることが多く、その住宅ローンの処理がしばしば問題となります。

まず、夫婦が住宅ローンの連帯債務者であれば、夫婦とも住宅ローンの債務者ですから、支払義務があります(連帯債務者かどうかは、契約書を確認すれば判明します)。

夫婦の一方のみが住宅ローンの債務者である場合も、原則として、他方配偶者も責任を負うことになります。夫婦でつくったマイナスの財産は財産分与の対象となり得るからです。そこで、プラスの財産とマイナスの財産を総合して、財産分与の額を決定することになります。

ただし、現在のオーバーローン分の全額が負債として考慮されないこともあります。現在はオーバーローンであっても、住宅ローンを返済していくことは、負担のない不動産を生み出すことにもなっているからです。さらに、住宅ローンの対象となっている財産以外に特に財産が見あたらない場合は、マイナスの財産だけが残ってしまいますが、他方の配偶者に経済力が無い場合などは、裁判所は、他方の配偶者に負担させないと判断することもあります。

親権

未成年(20歳未満)の子どもがいる夫婦が離婚するときは、父母の一方を親権者と定めなければなりません(民法819条1項)。

夫婦が、離婚については合意していても、どちらが親権者になるかについて合意ができない場合は、結果的に話し合いによる離婚(協議離婚)はできず、離婚調停で話し合いをすることとなり、それでも合意に至らない場合は、離婚訴訟の中で、裁判所が親権者を定めることになります。

子どもの奪い合いに関して、詳しくはコチラをご参照ください。


養育費

①養育費の請求根拠
親は、子どもを扶養する義務があります。父母が離婚しても、この“親の義務”に変わりはありません。そこで、父母双方がその経済力に応じて子どもの養育費を分担することになります。
②養育費の請求
子どもを養育している親が、他方の親に対して求めることができるのは、養育費の分担であり、子どもに必要となる費用の全てを請求できるというわけではありません。

それゆえ、支払われるお金だけでは、実際にかかる費用に足りないということもあるかもしれません。養育費の額については、裁判所が公表している養育費算定表が参考となります。

裁判所のホームページ
③法的手続
養育費について、父母の間で話し合いがまとまらない場合には、養育費を請求しようとする親は、家庭裁判所に調停の申立てをして,養育費の支払いを求めることができます。

話合いがまとまらず養育費の調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が、一切の事情を考慮して養育費の額について結論を出すことになります。

なお、養育費は、離婚協議の中で話し合いのテーマになることが多く、離婚調停の中でも話し合いができます。

④養育費の増額(減額)
一度決定された養育費について、その後、事情の変更があった場合には、養育費の金額を変更するよう申し入れることができます。父母が変更に合意できればそれでよいのですが、合意ができない場合は、養育費の額の変更を求める調停を申し立てることができます。

事情の変更には、父母それぞれの再婚や、子どもの事情の変化(病気にかかったり、進学したり)などが挙げられます。

慰謝料

婚姻関係の破綻(離婚)の原因が夫婦のいずれかにある場合、それを“不法行為”と捉えて、その不法行為による精神的苦痛に対して償いを求めることができます。これを慰謝料の請求といいます。

慰謝料の額には明確な基準はなく、離婚に至った経緯、離婚原因の具体的な内容のほか、離婚原因を作った配偶者の収入や、慰謝料を請求する人の経済状況・生活状況などを総合的に考慮して算定されるものです。

弊事務所では、過去の同種事例や裁判例を参考にしつつ、請求額についてご相談しています。